「給料泥棒」と罵声を浴びせる、退職届を破る…話題の退職代行企業が明かす「ヤバい会社の実態」
「退職代行を使われる会社」の特徴とは?
――世に言うブラック企業問題が、今も日本社会には根強く残っているということですね。 印象的なエピソードですと、退職届を目の前で破られた方や、退職する際に上司から「陰陽師代として120万円を支払え」と請求された方がいました。暴言を受けた方も多く、「ぶっ殺すぞ」「給料泥棒」「おい童貞」といった言葉を浴びせられた方もいました。 ――1万件の依頼を受けてきて、退職代行を「使われる会社」の共通点のようなものは感じますか? 第一に、労務管理が適切であれば、ほとんど当社に依頼はありません。何かしら労務関係に不備があり、その土台の上で、人間関係での悩みが発生している会社が多く、この部分は共通しているように感じます。 弊社から退職連絡をした際に、「当社の従業員がお手数お掛けして申し訳ない」「今後の改善のために、退職理由や詳細を詳しく伺いたい」など、退職の事実に真摯に向き合っている企業様は、退職代行を再び利用されるケースはほぼありません。 しかし、当社や依頼者に対して高圧的なスタンスの企業様は、同じようなご依頼者様が繰り返し現れている印象があります。 ――ちなみに退職代行業務でトラブルなどはあるのでしょうか。 退職代行を利用したからトラブルになると言うより、元々会社とのトラブルがあった状態でご依頼された結果、話が進まないといったケースはあります。退職をスムーズに行うためにも、そういったトラブルは解決した上で、ご依頼いただくことをお願いしてます。 ――退職代行サービスを通して、「Z世代の特徴」のようなものを感じることはありますか? たしかに昔と比べると、簡単に退職を選ばれている方が増えている印象を受けます。ただし日本企業、あるいは日本社会を取り巻く環境が変わってきているので、時代に合わせて、企業側の考え方も変えていくべきかなと。 ――たしかにそうですよね。 本音を言えば、私たちのような退職代行サービスは、社会から無くなることが一番だと思うんです。 けれど現状は、Z世代の方を含め、多くのビジネスパーソンが退職に伴い、苦しんでいる。我々としては、困っている人を少しでもサポートできるよう、引き続き活動していきたいと考えております。 * * * 後編記事〈電話一本で行なわれる「退職代行」の「やり取りの中身」…会社側とは一体何を話しているのか? 〉では、実際に退職代行でどのようなやり取りがされるのかなど、引き続き、「退職代行モームリ」(株式会社アルバトロス)に話を聞いていく。
佐藤 大輝(ライター)