「寺山修司展 ―世田谷文学館コレクション展 2024年度後期―」が10月から開幕。貴重な資料や台本、直筆の書簡を通じて活動の軌跡と人物像に迫る
「寺山修司展 ―世田谷文学館コレクション展 2024年度後期―」が10月から開幕。貴重な資料や台本、直筆の書簡を通じて活動の軌跡と人物像に迫る
世田谷文学館では、10月5日から「寺山修司展 ―世田谷文学館コレクション展 2024年度後期―」が開催される。会期は2025年3月30日まで。戦後日本を代表する歌人・劇作家であり、現在も戯曲の再演や映画の上映を通じて人気を集める寺山修司(1935~83)。本展では、同館がこれまで収集してきた寺山の書簡や、彼が主宰した劇団「天井棧敷」に関連する資料が一堂に会し、寺山の人物像とその活動が概観できるような機会となる。 寺山修司は様々な芸術領域を横断しながら、自身の表現を模索していた作家として知られる。18歳で「短歌研究」新人賞を受賞。その後は、俳句や短歌などの定型詩から、自由詩へと創作活動の基盤を移し、歌謡曲の作詞や放送詩(ラジオ)にも活動ジャンルを拡大した。1960年代後半には世田谷区下馬へ移り住み、彼が演劇実験室と称した劇団「天井棧敷」を設立。1960年代半ば~1970年代前半に全盛期を迎えた芸術動向のひとつ「アングラ演劇」における重要人物のひとりとして活躍する。 本展の構成はふたつのセクションからなっている。ひとつ目のセクション「世田谷区下馬・演劇実験室「天井棧敷」の設立」では、彼が妻・九條今日子と離婚した後、家出した少年・少女との共同生活のなかで立ち上げた劇団「天井棧敷」設立当時の資料や、原稿、台本、同劇団の初期メンバーのひとりである横尾忠則が手がけたポスターなど約100点が展示される。 後半のセクション「手紙魔・寺山修司」では「手紙魔」として知られる寺山修司の書簡を中心とした展示が行われる。高校時代から俳句や短歌を手がけ、短いフレーズで鮮烈に記憶に残るような語り口を得意とした寺山の書簡からは、彼の文才のみならず、人物像までもが浮かび上がるようだ。本セクションでは、おもに20代前半に彼が友人に向けて書いた書簡、約40点が展示される。 アングラ演劇、そして戦後日本の現代芸術においても重要な位置を占める寺山修司。彼の色褪せない魅力を貴重な資料を通じて堪能できるこの機会に、ぜひ足を運んでみてほしい。
Art Beat News