「マンガは、もはやサブカルではない」 マンガから本と出合う大学図書館の仕掛けとは
「新書、文庫からマンガへ」の逆アプローチも
DONDENのマンガは、MODE(文学)、ENGINEERING(科学や工学)、GROWTH(仕事や人としての成長)、BODY(スポーツ)など11のエリアと32のテーマで構成されています。本の分類は、「近大INDEX」と呼ばれる独自の実学的、文理融合的分類法に基づいています。そのため、通常の図書分類ではまず隣り合わない本同士が並び、予定調和ではない本との出合いが生まれやすいのが特徴です。 近畿大学中央図書館の八角聡仁館長(文芸学部教授)は、こう話します。 「ただマンガを置くのでは面白くありません。編集工学研究所と話し合いながら、本学らしい領域横断的で文理融合的なリベラルアーツ感覚を意識した配架を目指しました」 迷路のように配置された書棚のレイアウト、本に関連するオブジェや装飾、書棚に並べずに横置きにした本なども独特の空間をつくっています。 来館者の動線にも気を配っています。例えば、2号館のキャリアセンターに近い場所には、仕事や人としての成長をテーマにした「GROWTH」エリアがあり、「近大生のためのハローワーク」「仕事術と処世術」といったテーマの棚が並びます。「働くサプリレディ」の棚には『サプリ』『逃げるは恥だが役に立つ』などのマンガや、『モダンガール論』などの文庫、『なぜ理系に女性が少ないのか』といった新書など、女性の働き方やキャリア選択、仕事術などに関する本が置かれています。 八角館長はこう続けます。 「マンガはもはやサブカルチャーではなく、研究テーマや学習の教材としても扱われる一つの領域です。マンガから学べることは多く、新書や文庫とともに分け隔てせず、読むべき作品も多いです。学生の中にはマンガを全く読まない人もいるので、『マンガから新書、文庫へ』だけでなく、『新書、文庫からマンガへ』の逆アプローチもしたいです。迷路のような空間で迷いながら、本との出合いを楽しんでもらいたいです」