「特急が目の前を通った」 間一髪、踏切内のシニアカーを女性が救助
奈良県三宅町石見の近鉄橿原線・石見駅北側の踏切で5月15日、特急電車とシニアカー(ハンドル型電動車いす)が衝突した事故で、シニアカーを運転していた90代の女性を救助したとして、奈良県広域消防組合磯城消防署や奈良県警天理署が10日、同町内の会社員、金城(きんじょう)恵さん(46)に感謝状を贈った。金城さんは「無我夢中でおばあさんを踏切の外に出したが、次の瞬間に特急が目の前を走った。間一髪で助かって本当によかった」と話した。 【写真】梅森久嗣署長から感謝状を贈られた金城恵さん 天理署などによると、事故は5月15日午後6時54分ごろに発生。乗用車を運転していた金城さんが踏切で停止していたところ、歩行者用の踏切内でシニアカーを運転していた女性が立ち往生しているのを発見。金城さんは女性を抱きかかえて遮断機の外に出して救い出した。シニアカーは、何らかの理由で突然動かなくなったという。 事故の状況について金城さんは「おばあさんがシニアカーから降りて、懸命に手で押し出そうとしていたのが見えた」と説明。石見駅には上り電車が停車し、下りの特急電車も通過する直前だったという。 「電車が両方から来たら大変と、とっさに乗用車から降りた。おばあさんに『車(シニアカー)のことはいいから、早く手を離して』と叫び、踏切の外に出しました」と振り返った。シニアカーは特急と衝突し、高齢女性は手に軽いけがをしたが命に別条はなかった。 磯城消防署と天理署では10日、贈呈式が行われ、磯城消防署の梅森久嗣署長は「危険が伴う中、的確な状況判断のおかげで命が救われた。心から感謝したい」と話した。