滝登りとプチクライミングで登る! 名湯「有馬温泉」から標高931mの「六甲最高峰」を行く
一路下山し天下の名湯「有馬温泉」へ!
下山は、メジャールートの「魚屋道」から。かつて、六甲山南麓の深江浜で水揚げされた魚を、担いで有馬温泉まで運んだという道で、最短距離で有馬へ下れます。 一時間ちょいで駆け下りて、観光客でにぎわう温泉街へ。旅館や土産物屋などが建ち並ぶ、ちょっとレトロなたたずまいの街並みのあちこちに、湯気を噴き上げる泉源があります。 有馬温泉は、じつは「有馬型」と呼ばれる、非常に特殊な温泉です。日本の温泉のほとんどは、火山活動によって湧き出しています。火山帯がある九州や東北に温泉がたくさんあるのはそのためです。しかし、近畿地方には活火山がありません。 なのに、温泉が湧いているのは、この夏話題となった「南海トラフ」が関連しています。 フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでいる部分が南海トラフですが、プレートは沈み込むときに、海水を引きずり込みます。その海水由来の高温流体が、地下の深いところでマントルを溶かす作用をするためにマグマが発生、火山の噴火につながるのですが、もっと浅いところから断層を通って地表に湧き上がっているのが「有馬型」の温泉だそうです。 「プレート直結温泉」とも呼ばれて、高温高圧の地下から湧き出すために、いろいろな物質が溶け込んでいて、温度と濃度が高いのが特徴。ちなみに、今湧いている温泉水は、約600万年前の古海水だそうです。人類が生まれる100万年も前! 鉄分・塩分を多く含んだ鉄さび色の「金泉」と、炭酸ガスを多く含んだ無色透明の「銀泉」という、まったく泉質の異なる温泉が同じエリアに湧いているというのも、きわめて珍しいことだそう。 温泉街の路地裏にある「うわなり泉源」は、間欠泉のように時折蒸気を噴き上げるのですが、伝説によると、美人が通りかかると焼きもちを焼いて蒸気を噴き出すのだとか。 あら、ごめんあそばせ! 冗談はさておき、温泉で登った疲れを癒しましょう。金の湯にすべきか、銀の湯にすべきか悩みどころです。近年、アフター温泉に行きたい素敵なお店も増えています。湯上りにはどこで何を食べようかな。 山歩き+温泉+グルメがワンセットで楽しめる六甲山、ホントに魅力的ですよ。紅葉の名所でもあるので、秋が深まるころに、ぜひいらしてください。
根岸真理