【解説】「官房機密費」とは、どういったお金?
日テレNEWS NNN
石川県の馳浩知事が、五輪招致をめぐり、IOC(=国際オリンピック委員会)の委員に“政府の機密費を使ってアルバムを渡した”と発言し波紋が広がっています。「官房機密費」とは、そもそもどういったお金なのでしょうか? 平本典昭・政治部官邸キャップの解説です。 ◇ 2002年の小泉政権までさかのぼり、この官房機密費に関わった関係者に話を聞きました。一言で言うと、ある総理秘書官経験者は「総理・官房長官の判断で自由に使えるお金」と説明していました。 気になる額については、今年度予算にもおよそ15億円が計上されていて、複数の政府関係者が「1か月でおよそ1億円」使える予算と話しています。 ――自由に使えるお金ということですが、どこに保管されているのでしょうか? 官房長官の元秘書官に聞いたところ、「あるのは知っているが、みたことも触ったこともない」と。触ったことのある人物はかなり限られているようなのですが、実際に使ったことのある人によると、このお金は、官房長官の部屋にある金庫に現金で保管されているそうです。 金庫の様子も聞いたところ、「ちょっとそれは…」といわれましたが、証言によりますと、高さは50センチ、色は黒色だということです。 ――普通の大きさのようですが、いくらくらいはいっているのでしょうか? 金庫を開いたことのある人の証言では、「100万円の束が小分けではいっている。数千万円が常時、保管されている」と。使ったあとは官邸スタッフによって随時、補充されるそうです。 ――そもそも、何に使うお金なのでしょうか? 政府は公式見解としては「情報収集、調査に必要な経費」としています。ある関係者は、「政権運営の維持のために使うお金」だと説明していました。 ――政権運営に使うお金とは、具体的には何でしょうか? これは多くの関係者が「詳しいことは言えない」と、固く口を閉ざしています。が、その中で過去の例ですが、2点ほど具体例として話を聞けました。 1つは野党対策。ある国会対策委員長経験者は、「国会がおわったあとなど、野党との食事会の費用として機密費を使ったことがある」と話していました。 もう1つは、身内向け。ある総理大臣秘書官経験者は、「歴代の総理の中には、海外訪問したときに機密費で閣僚のお土産を買ったケースもあった」と話していました。 ――今回、官房機密費でIOC委員向けにアルバムを作るということについては、どういう反応がでていますか? 多くの関係者は「真偽はわからないが、機密費の使い道を知事が公の場でいう発言は軽率としかいいようがない」と話していました。 政府はこれまで、機密費の使途は「国の機密保持上、使い道を明らかにしない」としているもので、使ったか、使わなかったも答えないスタンスとなっています。