フランス大使も認める秋元さくらシェフおすすめの「若狭の岩牡蠣」の魅力
旬を迎えた岩牡蠣のなかでも、福井・若狭産のそれは、口に入れる機会がなかなかないだろう。養殖物も出まわるなか、「若狭の岩牡蠣」は天然物にこだわるため、流通量がそもそも少ない。東京の台所・築地市場でも扱いがない貴重な食材だ。
「私は牡蠣が大好き」
「お肉のような食べごたえがありますよ。ひだの部分なんか特に」。東京・目黒のフランス料理店「モルソー」の秋元さくらシェフは、「若狭の岩牡蠣」をそう表現した。同店では、このレアな食材に、トマトのカクテルソースやワイン酢をかけて、エシャロットとともに生のまま提供している。 秋元シェフは福井市出身で、航空会社の客室乗務員を務めながら、おもてなしの心を学んだ。「出した料理を喜んでくれる乗客の笑顔が嬉しかったから」と、料理人に転身。2009年に店を始めて6年になる今年、秋に開かれるフランス料理を楽しむイベント「フランス レストランウィーク」で、次世代を担う若手シェフとして、各地のグランシェフと駐日フランス大使が推薦する「OSUMITSUKIシェフ」に選ばれた実力の持ち主でもある。
「私は牡蠣が大好き」と言って、秋元シェフははばからない。一年を通じて、能登や大分、宮城といった産地の牡蠣をグラタンなどにして料理する。「フランスでもニースやカンヌといった地方では、日常的に牡蠣を食べます。ブロン産の牡蠣は味が強いのですが、日本の牡蠣は身が大きく、満足度が高い。香りが良くて、鼻に残る余韻があります。白ワインが飲みたくなりますね」。 牡蠣に魅せられている秋元シェフだが、今年ようやく「若狭の岩牡蠣」の仕入れルートを確保し、同店で初めてメニューの提供を始めた。シェフが福井出身だからという理由もあるが、それ以上に、ほかの産地の岩牡蠣と比べた身質の違いを強調する。「日本海側と太平洋側の牡蠣ではおそらく塩加減が違います。若狭の岩牡蠣は、殻を開いた時のエキスにミネラル感が強くあります。ひだや貝柱の周りをがぶがぶ食べられ、身の部分はミルキーなだけでなく、しっかりとしています」と食材の目利き力に自信を見せる。