上市高を「キャリア教育高」に改名を 町が県に要望へ 高い就職率、学校存続狙い
上市町は、富山県立高校の再編を巡り、定員割れの続く上市高の入学者増のため、校名を「県立キャリア教育高」に変更するよう県に要望する方針を決めた。キャリア教育に注力して県内就職率が高い学校の特長を分かりやすく伝えるよう提案する。10日の町全員協議会で町側は、学級数・生徒数を基準に上市高が統合対象となることに危惧を示し、人口減少対策としても「卒業生の多くが地元に定着する学校を大切にすべきだ」とした。 県への要望は、7月に中川行孝町長が来年度の町重点要望の一つとして盛り込み、新田八朗知事、廣島伸一教育長に提出する。 町などによると、上市高の今年度の入学志願者は72人で定員は150人。推薦内定者18人を除く132人に対する倍率は0・55倍だった。生徒数は総合学科347人(3年120人、2年128人、1年99人)。 入学者数は伸び悩んでいるが、卒業後の県内就職率は2020年度と21年度で100%、22年度で86%となり、大学や専門学校などへの進学者を含めても、卒業生の7割以上が県内に進学、就職している。 町は、総合学科を持つほかの学校と比べても県内進学・就職の比率が高いとする。町として、同校がキャリア教育の一環で取り組む生徒が地元企業で働く「キャリバイト」に一層協力し、校名変更で学校の強みを周知することで来年度の志願者の倍率を1・00倍以上にする目標を掲げた。 ●中川町長「志願者増やしたい」 中川町長は、学校を残すため悔いのないよう、できること全てに取り組むとし、「キャリアという言葉そのものが上市高の姿を表現している。魅力を感じてもらい、志願者を増やしたい」と話した。 上市高の前原五輪雄校長は「町が変更を要望することは初めて知った。校名について、いいとか悪いとか言える立場にない」と話した。 県立高教育振興検討会議が取りまとめた2027年度以降の県立高再編方針などの提言書では、統合の検討対象は「1学年4学級未満または160人未満」の学校となっている。県教委によると、現時点でこの基準に該当しているのは、上市、魚津工、中央農、大門、雄山、伏木、福岡、南砺平、小杉、砺波工の計10校となっている。 高校再編を担当する県教委教育みらい室の嶋谷克司県立高校改革推進担当課長は、町の要望について「内容を聞いていないので答えようがない」とした。校名を変更するには県教委が県立高等学校等設置条例の一部改正案を県議会に提出し、承認を得る必要があるという。