ファミマ、期間限定「たぶん40%増量」で集客 ワクワク感でPBてこ入れ
ファミリーマートが、商品の価格を据え置いたまま内容量を約40%増量する販売促進キャンペーンを始めた。 【関連画像】キャンペーン対象の弁当はご飯も各具材も増量されている 「お値段そのままデカくてうまい!!たぶん40%増量作戦」と銘打ち、フライドチキンの「ファミチキ」をはじめ、弁当やサンドイッチ、菓子、飲料など12品目の重量や具材を40%ほど増量。週替わりで3週間にわたって販売する。 増量キャンペーンはファミマ創立40周年にちなんで2021年から開始し、今年で4回目となる。ファミマのヒットを受けて、競合コンビニも類似した販促施策を一時期相次いで打ち出していた。だが、いずれもファミマほどの反響は得られていないようだ。 ファミマも4回目となってさすがに飽きられるリスクもあったが、SNSでの反応を見てみると今年も出足は上々のようだ。 「○○(競合他社)の増量のやつはすぐ売り切れるけどファミマは今のところいつ行ってもある」「○○の増量は売り切れまくりだったのにファミマは普通に買えるわね」などと、品薄状態の他社と比較し、ファミマの豊富な在庫を好意的に捉える消費者の声が目立った。 ファミマが、在庫をここまで潤沢に用意している背景には、これまでの成功体験がある。 増量キャンペーンの商品は通常商品に比べて売り上げの大幅な伸長が見られ、特にスイーツカテゴリーでは10倍近くも伸びるという。一方、キャンペーン後に通常商品の売れ行きが悪くなる反動も特にないようだ。キャンペーンで対象商品に初めて手を伸ばす人も多く、新規顧客の獲得に貢献しているのだ。 ファミマの増量キャンペーンは21年の開始以来、SNSの投稿数が回を追うごとに増加している。特定の単語がどれだけ検索されているかを分析する「Googleトレンド」での検索数は初回に比べて約2倍になった。カギとなるのは消費者の「いたずら心」を刺激する工夫だ。
商品の大きさがSNSで拡散
過去のキャンペーンでファミマがSNSの反響を精査したところ、「40%増量どころではなく2倍ぐらいあるのでは」といった驚きの声も多く見つかった。 こうした投稿を見て、また別のネットユーザーが「ファミマの商品の重量を比べてみた」といった写真付きの検証結果を投稿することで、盛り上がりが加速するという構図ができあがっている。 同社商品本部の阿部大地氏は「お得感やおいしさに加えて、どれほど増量しているかという、ワクワク感を体験してほしい」と語る。 今年のキャッチコピーに「たぶん40%増量」とあえて曖昧な表現を盛り込んだ意図もここにある。「恐らく実際には40%ではないのだろう」という消費者のいたずら心を刺激し、実際に計測したり、従来商品と比較したりすることを促す狙いだ。 一方、収益確保の対策も抜かりない。今年の対象12品目のうち、大半が好採算のプライベートブランド(PB)商品だ。狙い通りに新規顧客の獲得が進めば、業績の押し上げ効果は大きくなる。 ファミマが7月に発表した24年3~5月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる営業収益が前年同期比1%増の1257億円で、本業のもうけを示す事業利益が5%増の236億円だった。 物価高で消費者が低価格志向を強め、小売業界全体で業績拡大ペースが鈍っている。消費喚起と収益確保に向け、あの手この手でキャンペーンを仕掛ける動きが広がりそうだ。
日経ビジネス 編集部