数的思考力でピーク年齢にずれ 国際成人力調査 文科相が博士課程など進学支援
10日に結果が公表された令和4年度の「国際成人力調査」では、数的思考力で最も得点の高い年齢層が経済協力開発機構(OECD)の平均よりも若かった。大学の修士や博士課程に進む割合が各国に比べて少ないことが一因とみられ、文部科学省は博士課程などへの進学支援を推進する。 【高校別ランキング】東大理Ⅲ合格者数 日本の16~24歳の数的思考力の平均点は298・7点で参加国で1位だった。その後は、年齢層の上昇とともに平均点は緩やかに減少。 一方、OECD平均では、25~34歳が最も高く272・7点。そこから日本と同様に平均点は減少していくが、ピークの年齢層にずれがあった。 文部科学省の担当者は「高等教育を受ける時期が他国と比べて早いという違いもある」と分析。ただ、人口当たりの修士号や博士号の取得割合が国際的に低いデータがあることから、「博士課程などへの進学支援や社会人のリスキリング(学び直し)を推進していく必要がある」とした。 調査では、現在の職業に対して自身のスキルが不足していると回答した25~65歳の人は29%に上った。そのうち42%がITスキルの向上が必要と回答。スキル不足のOECD平均は10%にとどまっており、終身雇用制など労働市場制度の違いからリスキリングの課題も浮き彫りとなった。 数的思考力の就業に対する影響(25~65歳)では、日本の労働市場への参加率は、得点を「レベル1未満」から「レベル5」まで6段階に分けた比較で、上位の「レベル4」以上は89%で、下位の「レベル1」以下が75%と差がついた。賃金への影響も小さくなかった。(楠城泰介)