出身は旭川のゴルフ練習場 長谷川大晃が賞金初獲得へ好スタート
◇国内男子◇ANAオープン 初日(12日)◇札幌GC 輪厚C(北海道)◇7066yd(パー72)◇晴れ(観衆1730人) 【画像】旅人ゴルファーが選ぶ世界のリンクス“3選” グリーンを平らに仕上げるため、営業前のゴルフ場では“転圧”が欠かせない。ローラーで芝に圧力をかけてデコボコをなくす。ただし、27歳の長谷川大晃(はせがわ・だいき)は、転圧のマシンが別の用途でも役立つことを知っている。 北海道の出身で、実家はかつて旭川市内にある練習場を経営していた。冬はひざ丈以上の高さに雪が積もるのが当たり前の地域。打席から放たれたボールは柔らかい雪に埋まってしまうと、探しにくくて仕方がない。練習を始めるのはいつも、ドライビングレンジに広がる一面の雪を転圧し、ボールが拾いやすくなる程度に固めてからだった。 旭川龍谷高時代に「北海道高校選手権新人戦」を制し、東北福祉大へ。2017年の国体には同じゴルフ部の植竹勇太、片岡尚之とともに北海道に初優勝をもたらした。19年にプロ転向後は苦戦が続く。レギュラーツアーで賞金を獲得した経験がまだない。
レギュラーでも下部でも出場機会が一度もなかった昨季、最終QTに進んだことで、年度末にようやくツアーメンバーになった。プロとしての次の一歩を踏み出したのをきっかけに、夫人と10カ月になる第一子(長女)と拠点を仙台に移し、態勢を整備。「家族を養うための生活を考えたら、ここぞという時の集中力はちょっと増したのかなと思います」と一家の大黒柱である自覚も芽生えたところだ。 アマチュア時代の2019年に初めてツアーを経験したのがこの「ANAオープン」。その時以来の出場で、前半3番(パー3)からの3連続バーディをきっかけに初日「67」をマークした。「風がない予報だったので(バーディを)稼いでおくのが目標だった」とボギーなしの5バーディ。5m以内のチャンスを逃さず、最終18番も2mの下りのパーパットをねじ込んで7位発進をした。 「ジュニア時代から観戦に来ていた舞台で、こうやって戦えることはすごく光栄」と故郷のファンの声援もうれしい。「狙える位置に行けたらいいかなという感じ。今のところは全然、優勝なんて」。ツアーでの賞金獲得の経験はいまだない。謙虚に残りホールをプレーする。(北海道北広島市/桂川洋一)