DIC川村記念美術館、存続を求める署名が47都道府県から集まる。地元主体の活動に海外から反応も
マーク・ロスコなどの収蔵作品で知られるDIC川村記念美術館(千葉県佐倉市)が2025年1月から休館することを受けて、地元では存続を求める署名活動が行なわれている。署名は9月5日から始まり、5日間が経過した時点で約2.5万件(オンライン署名のみ)が集まっている。担当者によると、全国47都道府県、さらに海外からの署名もあるという。
地元市民の憩いの場としても親しまれてきた場所
8月27日、同館を所有・運営する印刷インキなどの化学メーカーDIC(本社・東京)が、来年1月からの休館予定を発表。その後の同館の運営方法については年内に結論を出すとしており、規模縮小と移転を基本方針として検討を進めるという。そのうえで、「美術館運営の中止の可能性も排除しない」としている。 同社が保有する作品の資産価値は、今年6月末の簿価ベースで総額112億円ともいわれている。また同館の特徴のひとつとして、約3万坪の庭園がある。緑豊かな庭園は四季折々の植物が色づき、地元市民の憩いの場としても親しまれてきた。
地元観光協会などでつくる団体が署名活動中。その反響は?
署名活動の主体は、市長や市議会、市観光協会、佐倉商工会議所、市内の国立歴史民俗博物館などの代表者とつくる「DIC川村記念美術館の佐倉市での存続を求める会」。同会の事務局をつとめる同市役所魅力推進部文化課によると、報道を受けて同館の運営方針を知り、同会のなかで手分けしながら早急に準備を進めたのだという。 市民から「市としてできることはないのか」「市民の憩いの場であり、どうにか残せませんか」などといった声も受けているといい、9月5日、市役所の公式ウェブサイト内にオンライン署名ができるシステムをオープン。9月9日16時現在、オンライン署名のみで24945件の署名が集まっている。アナログでの署名も少しずつ届いているという。 同会事務局によれば、署名は47都道府県からもれなく集まっているといい、なかには海外からの署名も。9月6日時点で集まった12000~13000件のうち、4800件ほどが千葉県からで、そのほか東京都など近郊からの署名も多かったという。 佐倉市の人口は約17万人。そのため、署名の目標は16~17万ほどを目安にしているというが、事務局担当者は「あくまで指針であり、多くの皆さんからいただければいいなと思っている」と話していた。 署名は9月30日締め切り。10月以降、DICへ提出するとしている。
テキスト by 今川彩香