投球動作は「肘下げない」 全凝縮のキャッチボール…“黄金期の子”を伸ばす指導術
愛知・北名古屋ドリームスは小学3、4年生の育成に尽力…指導は「しつこく」
運動能力を高める“黄金期”の指導の鍵は「粘り強さ」にある。愛知県北名古屋市の学童野球チーム「北名古屋ドリームス」は、小学3、4年生(8~10歳)の指導に力を入れ、選手数の安定やチーム力向上につなげている。投げる・捕る・打つの基礎の徹底から将来につながる応用まで、子どもたちの集中力を切らさないコーチングで上達に導く、そのメソッドに迫った。 【動画】投球ドリル→三角キャッチボール&応用も 北名古屋ドリームス「ジュニア」のハイレベル練習 2006年創設の北名古屋ドリームス(以下、ドリームス)は現在、小学5、6年生の「トップ」、3、4年生の「ジュニア」、2年生以下の「キッズ」にカテゴリー分けし、土日の午前9時から午後5時まで練習を行っている。特に中学年の「ジュニア」の指導に力を入れることで、2021年には「全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」で準優勝に輝くなどのチーム力向上や、部員数増にもつなげている。 4年生16人、3年生13人が所属するジュニアの指導を行うのは、小林正明ジュニア監督と篠田進太郎コーチ。ウオームアップも兼ねた走塁練習からキャッチボール、守備練習、打撃練習、実戦形式とテンポ良く進んでいくが、初めの走塁から1本1本、実戦を想定して行っている様子が見て取れる。キャッチボールでも、まずドリルで投球動作を確認し、送球動作やタッチプレーを交えるというように、段階を踏まえつつも実戦的だ。 トップチームを率いる岡秀信監督は、小林監督と篠田コーチを「うちの指導者の中でも、“しつこさ”ではナンバー1、2です(笑)」と評する。野球で大事な要素を8~10歳の子たちに教え込むには、何よりも繰り返し、粘り強く伝えることが手段だ。「目を離したらサボりたくなる年代。どれだけ1人1人の子をしっかり見ることができるかが大事になります」。 確かにタッチプレー1つにしても、グラウンドに響く2人の指導する声はこと細かい。小林監督にあるのは「ドリームスに入ってくれたからには、他のチームの子よりも“野球”を覚えてほしい」という思いだ。自身の2人の息子も、ドリームス時代に技術・戦術を身に付けたおかげで高校・大学野球で評価を得ることができたという。「この子たちにも後々『ドリームスの選手で良かった』と思ってほしいし、保護者の方にも『入れて良かった』と感じてもらいたい。そのためにも、しつこく、しつこくです」とうなずく。