投球動作は「肘下げない」 全凝縮のキャッチボール…“黄金期の子”を伸ばす指導術
野球の中で起こり得るプレーは、小学3、4年生だからこそ「やらせたい」
投球ドリルは、【1】握ったボールを頭の後ろに位置させ、足は動かさず上半身の捻り(肩の入れ替え)で投げる、【2】前足を踏み出し「前→後→前」の体重移動を意識して投げる、【3】前の2つを合わせて上・下半身の連動を意識して投げる、と3段階で行う。特に注意するのは怪我につながる「肘の下がった投げ方」だといい、「平日に家でやる際にも、同じようにやってくださいと保護者にはお願いしています」と小林監督。 そうした基本動作を押さえた上で行うのが、名物練習の「三角キャッチボール」だ。文字通り3人が三角形に位置取って投げ合うのだが、素早い握り替え、捕球・投球体勢づくり、正確な送球が求められる。そして、ドリームスの3、4年生たちはこの年代とは思えないほど上手にこなす。これができれば、内外野どこでも対応できるし、勝利を求めるトップチームに上がっても戸惑うことはないだろう。 「試合前に時間がない時には、これをやるだけでも準備になります。三角キャッチボールを見た対戦相手から、『勝てないと思った』と言われたこともあります。それだけ、野球の全てが詰まった練習だと思います」(小林監督) さらに、基礎を大事にしながら、「応用」にも積極的に取り組ませる。守備練習では逆シングル捕球やジャンピングスローも。「野球の中で起こり得るプレーは、この年代だからこそやらせたいんです」と小林監督は力を込める。 確かに、神経系が最も発達し、脳への刺激によって野球勘やボール感覚が最も育まれるのは、「ゴールデンエイジ」と呼ばれるこの10歳前後だ。「1回でもいいから練習をして、プレーのアイデアや引き出しは増やしておいた方がいい。いざという時に助けられるのは、体力ではなく“技”ですから」と、トップチームを率いる岡監督も語る。 基礎を大事にしつつ、チャレンジ精神も引き出す。それが、“黄金期”の子どもたちを意欲的にし、将来の可能性を広げるポイントなのかもしれない。
高橋幸司 / Koji Takahashi