F1豪州GP開幕微妙も…白熱必至の今シーズン、レッドブル・ホンダは”本命”メルセデスを倒すことができるのか?
ホンダは昨年3勝を挙げているが、そのうち2勝はホンダの航空エンジン部門の知見が採り入れられたターボが、ライバルを上回る性能を発揮した比較的標高が高いサーキットだった。 ホンダの浅木泰昭氏(HRD Sakuraセンター長/パワーユニット開発責任者)は「2020年の目標は、高地だけでなく、平地でもメルセデスと同等か、できればそれ以上の性能を発揮して、1年を通して、メルセデスと対等に戦うこと。それができれば、自ずと結果に繋がっていく」と、打倒メルセデスを誓う。 古豪フェラーリも忘れてはならない。プレシーズンテストの走りだけを見れば、目立ったタイムを残していないが、昨年弱点だった低速コーナーでの走りは改善されており、いまだ真の実力を見せていない印象だった。オーストラリアGPでは2018年と2017年に勝利を収めており、開幕戦の戦い方も熟知しているだけに、侮れない存在だ。 このトップ3チーム以外で注目となるのは、メルセデスのマシンコンセプトを模倣して、新車を開発したレーシングポイントだ。テストでは昨年のコンストラクターズ選手権4位のマクラーレン、同5位のルノーと同等か、それ以上の走りを披露していた。これにホンダのパワーユニットを搭載したアルファタウリ(昨年のトロロッソから今年チーム名を改称)を含めた4チームによる第二集団の戦いも過熱しそうだ。
その2020年シーズンのF1で、最も気がかりなのが、新型コロナウイルスによる影響だ。すでに第4戦中国GPは延期が決定しているが、3月8日には第2戦バーレーンGPの無観客でのレース開催を決定。3戦目のベトナムGPは、通常通り開催される見込みだが、その後に控えているヨーロッパラウンドが不透明だ。 なぜなら、ここに来てヨーロッパでの感染者が急激に増加し始めているからだ。フェラーリやアルファタウリの本拠地があるイタリアは1万人以上が感染し、5月と6月にグランプリを予定しているスペインとフランスはいずれも日本を上回る感染者数を記録している。 一刻も早く、事態が収束することを願うばかりだ。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)