マツダがパカッと開く「リトラ車」再提案!? 斬新コンセプトの「アイコニックSP」登場で市販化の可能性はある? 昔は「パカパカしてた!」でもいまはほぼ無し? そもそも「リトラが無くなった」理由とは
今後リトラは復活する? 可能性はあるか? アイコニックSPの市販は?
マツダが「ジャパンモビリティショー2023」でお披露目した「アイコニックSP」はリトラクタブル・ヘッドライトをしていました。一部では「次期RX-7か」という声も出ています。 【画像】超かっこいい! これが「新ロータリースポーツカー」です!(48枚) そうした中で、多くのクルマ好きが「リトラ復活!」と歓喜していましたが、そもそもなぜ最近のクルマはリトラクタブル・ヘッドライトを採用する例が皆無なのでしょうか。
かつて、低いフロントマスクから、飛び出すように展開する「リトラクタブル・ヘッドライト」を搭載するクルマは多く見かけました。 1970年頃からスポーツカーブームが始まり、スポーツカーは多くの人を魅了してきたのです。 当時の多くのスポーツカーには「リトラクタブル・ヘッドライト」が搭載されていましたが、現在の車両ではほとんど搭載していません。なぜでしょうか。 そもそも、リトラクタブル・ヘッドライトとは普段はボンネット内部に隠してあり、使用時のみ登場するという機構を備えたヘッドライトです。 リトラクタブル・ヘッドライトが採用されはじめた理由には、空力性能が影響しています。 スポーツカーでは空力性能向上のため、限界まで低くしたスタイリングが求められます。しかし、固定型のヘッドライトを搭載しようとすると、どうしてもその分ボンネットが高くなってしまうのです。 当時、その問題を解決したのがリトラクタブル・ヘッドライトであり、不使用時は格納することで走行のパワーを少しでも上げるための工夫がなされました。 実際に国内外の多くのスポーツカーでリトラクタブル・ヘッドライトは採用されました。 国外で言えば、ロータス「エラン」や「フェラーリ」「ランボルギーニ」、国内ではトヨタ「2000GT」、ホンダ「NSX」、マツダ「RX-7」「ロードスター」などに初めて搭載されました。 しかし、リトラクタブル・ヘッドライトはメリットだけではなくデメリットも多くあります。 ライトを登場、格納する機構のため、通常の固定式のヘッドライトと比べると多くの部品が使用されています。そのためコストの増加、および故障の原因となる場合があるのです。 加えて、固定式と比べて、フロントの重量が増すため、走行性能や旋回性能に悪影響をもたらしました。 そして、何よりも当時は光量のために大きなライトを搭載する必要がありましたが、現在は小さく、デザイン上でも自由度が高いLEDでが主流です。 こうした理由に加えて、安全面のルール改定も要因と言えます。 現在の「道路運送車両の保安基準18条2」において、以下のように記述されています。 「車体の外形その他自動車の形状は、鋭い突起がないこと、回転部分が突出してないこと等他の交通の安全を妨げるおそれのないものとして、告示で定める基準に適合するものであること」 つまり、展開時に、突起物となってしまうリトラクタブル・ヘッドライトは形状によっては、保安基準違反となってしまう可能性があります。 一方で特徴的な開閉時の動き、愛らしいルックスなどから、現在でもリトラクタブル・ヘッドライトを望む声は多くあるようです。 実際にSNSでは「リトラクタブル・ヘッドライト車復活希望」や「リトラクタブル・ヘッドライトは今見てもカッコいい」という声がありました。 では、今後のクルマにおいてリトラクタブル・ヘッドライトが復活する可能性があるのでしょうか。 自動車業界でデザインに携わるとある関係者は次のように話してます。 「まずデザイン第一で考えた場合、リトラを採用することはあまりないのではないでしょうか。 仮にリトラを採用するとデザインで大きな制約が出来てしまい、自由な表現がしづらいですが、いまのLEDであれば縦・横と自由に配置することができデザインの自由度も高まりました。 またデザイン以外でも構造が複雑になることでの生産面やメンテナンス面、法規対応、そしてそれに伴うコストなど様々な課題があるので、採用のハードルはより高くなります。 一方でマツダのアイコニックSPのように、スポーツカーの象徴的なモデルではこれらの課題をクリアしてでも採用する価値があるかもしれません」 ※ ※ ※ なお前述のアイコニックSPでは、小型化されたLEDヘッドライトを採用し、デザイン面でも開口部を極力薄くすることで復活することが出来たようです。 今後、マツダから登場するクルマにこのようなリトラクタブル・ヘッドライトが採用されるのか、注目です。
Peacock Blue K.K.