来年2倍計画完了…IHI、航空機エンジンMROの増強前倒しの背景事情
IHIは鶴ケ島工場(埼玉県鶴ケ島市=写真)の航空機エンジン修理・整備(MRO)の能力増強を当初計画から前倒して完了する。国際共同開発に参画する民間航空機エンジン「PW1100G―JM」の粉末冶金部品の介在物混入問題に関し、追加検査プログラムに伴う整備台数の増加に対応するため。2026年3月までをめどに22年度比で約2倍に引き上げる目標を掲げているが、25年内に能力増強を終える。 【写真】IHIの鶴ケ島工場 MROの能力を倍増するには相応の人材が必要になる。新規採用に加え、IHIグループ内でのリソースシフトなどを進める。MRO業務に必要となるスキルの教育も前倒しで実施する。 「PW1100G―JM」は欧エアバスの小型機「A320neo」に搭載されるエンジン。一部期間に使用された粉末冶金製造過程で介在物が混入したことにより、運航上の問題が発生している。 IHIは同エンジンプログラムに約15%のシェアで参画しており、出荷済みエンジンの追加検査プログラムによる補償や追加整備費用を24年3月期に一括計上している。 検査や整備のためのエンジン取り卸しから取り付けまでに要する期間は250―300日で、24―26年の地上駐機(AOG)数は平均350機になる見通し。IHIはMROの能力増強を通じて粉末冶金問題による影響の最小化に貢献する。