韓国に来年訪れる“最悪の医療空白”…専攻医不在、軍医・公務員医師も不足
【12月16日 KOREA WAVE】韓国で、来年3月から研修を開始する新規レジデント(専攻医)の募集支援率が8.7%にとどまり、今年2月から続く医療空白がさらに深刻化するとの声が高まっている。これに加え、医学部定員増加に反発した医学生たちが現役入隊を選択し、軍医や公務員医師の不足が予測されるという状況も重なっている。 保健福祉省によると、今月9日に締め切られた全国の研修病院でのレジデント1年目の募集では、全体で3594人の募集枠に対し、応募者はわずか314人で、支援率は8.7%に過ぎなかった。 「ビッグ5」と呼ばれる主要病院(サムスンソウル病院、ソウル大学病院、ソウル聖母病院、ソウルアサン病院、セブランス病院)には68人が応募。首都圏の病院には193人、地方の病院には121人が応募したにとどまった。 医療界は、12月3日の「非常戒厳」宣布が志願率に影響を及ぼしたと分析している。この布告には「専攻医を含むすべての医療人は48時間以内に本業に復帰し、誠実に勤務せよ。違反した場合は戒厳法に基づき処断する」という内容が含まれていた。 退職したある専攻医は「布告に『専攻医』という単語が含まれたことで、経済的な理由や教育環境を理由に復帰を考えていた退職者も、病院復帰を断念する結果となった。『処断する』という文言は抑圧的だと感じた」と語った。 専攻医が復帰しないことで、医療空白はさらに深刻化する。9日時点で全国の研修病院で勤務する専攻医の数は1172人で、全体1万3531人のわずか8.7%にとどまる。 医療界は、来月から実施されるインターン(初期研修医)やレジデント2~4年目の募集も応募者が少ないと予測している。 「ビッグ5」病院の関係者は「レジデント1年目の志願率が低い状況は、インターンやレジデント2~4年目の志願率にも影響を与える。手術を担当する医療人材が必要なのに、専攻医が復帰しなければ病院の収益は減少する。政府が専門医を中心とした上級総合病院への転換を推進しているが、赤字幅が若干縮小する程度にとどまるだろう」と懸念を示した。 専攻医が戻らないことで、「ビッグ5」病院全体の医師のうち専攻医が占める割合は従来の40%から5%に急減した。 保健福祉省の資料によると、9月時点で「ビッグ5」病院全体の専攻医数は238人で、2022年の2437人、昨年の2742人に比べて10%未満の水準にまで減少している。 さらに、医学部生の現役入隊増加により、公務員医師や軍医の不足も予想される。2021年から昨年にかけて100人台にとどまっていた「軍休学」中の医学部生が約10倍近く急増した。彼らは医学部定員増加に反発し、現役軍勤務を選択したとされる。 韓国公務員医師協会は10日、声明を発表し、「現役入隊した医学部生はすでに8月時点で1000人を超えており、医学部生2469人を対象に実施した調査では70.5%が現役勤務を希望すると回答している。専攻医の入隊が本格化すれば、軍の医療資源は枯渇する」と警告した。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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