全国的に珍しい「政令市またがる新設区」 無党派層めぐる三つ巴の戦い 神奈川19区【衆院選2024】
10増10減のあと初めての衆議院選挙となった今回の選挙。区割り変更が行われた中でも、全国的に珍しい選挙区だったのが神奈川19区だ。政令指定都市の横浜市と川崎市に「またがる」という選挙区で、しかも、まっさらな新設区。候補もすべて新人。政令指定都市で無党派層が多い中、誰もが確固たる「地盤」がない中での大激戦となった。 ■“地盤”なき三つ巴の戦い 自民党は横浜市議だった草間剛氏43歳。立憲民主党は元財務官僚の佐藤喬氏42歳。さらに、国民民主党の深作ヘスス氏39歳が立候補し、「三つ巴の戦い」を繰り広げた。 「宜しくお願い致します!」と道を歩く人たちに声をかける。相手の選挙カーを見ると「お疲れさまです」と大きな声。選挙戦の最中、自転車で移動を繰り返していたのは、立憲民主党の佐藤喬氏。「選挙カーを運転する人にも事欠いているんですよ」と苦笑いしていた。支えてくれるいわゆる“組織”はなく、秘書は同級生。立憲民主党の県議、市議のほかには、ボランティアが中心だ。組織がないのを逆手に取って、「自転車演説」を売りに、選挙区を回った。 元財務官僚として国会論戦を間近に見て、税金の使い道を議論する国会が機能不全に陥っていると思ったことを中心に訴えた。子どもが今年産まれたばかり。元財務官僚として論理的な経済政策を訴えるとともに、子育て政策にも力が入る。そして、裏金問題については、自民党だと政治改革が出来ない、と訴えた。 一方、自民党の草間剛氏。笑顔が似合うパワフルな外見。横浜市都筑区を地盤に市議会議員を3期12年務めた。市議選では最多得票で当選しただけに、地元での浸透度は高い。敢えて、選挙事務所は「市」が違う川崎市宮前区に構えて臨んだ。 草間候補も子供が産まれたばかりで、6歳と0歳の子供を持つ子育て世代。「電車に乗って東京まで7分。東京生まれの子供は東京の高校に通うと無償なのに、神奈川から通うと学費が発生するのはおかしい」。自民党改革、経済対策とともに特に「東京都との子育て政策の格差の是正」を訴えた。