全国的に珍しい「政令市またがる新設区」 無党派層めぐる三つ巴の戦い 神奈川19区【衆院選2024】
そして、肝心の裏金問題については、新人候補なのでそもそも裏金に関係ない、というスタンスだ。そして、裏金問題を始めとする自民党改革には外圧だけでは駄目で内部からも変える必要がある、と訴える。 激戦区ということで、神奈川県選出の菅義偉副総裁、小泉進次郎選対委員長らも複数回入る。小泉選対委員長は「裏金問題で攻められるべきは、これまでの自民党、党幹部であって、草間さんではないんです」と声を張り上げる。どこ場所のどの演説でも裏金問題についての説明は必要で、逆風を受けていた。 さらに、この選挙区では、いち早く地元で活動を始めていた候補がいる。国民民主党の深作ヘスス氏。前回の参院選において神奈川全体で25万票を取っていた実績で、街頭演説をしていても、多くの人が立ち止まるし、話しかける。川崎の地元の小中学校を出ていて、「地元育ち」を誇る。街頭で後輩に対してメッセージを求められることもしばしばだ。 そしてこちらも、子育て世代。なんと、選挙が始まった公示日に第二子が産まれた。深作候補のSNSでは、公示日に陣痛の一報があってから「心ここにあらず」の状態で活動を続け、無事に産まれてきたことが報告されている。このため、街頭でSNSでも出産直後だったことを気遣う反応が多く見られた。 政策では、給料を上げる経済、国を守る経済を中心に子育て政策のほか、ウリはアメリカの下院議会等の外交の現場で働いたことなどから「外交」も切々と訴えた。「外交や安全保障は遠いことに聞こえるかもしれない。が、外交は私たち1人1人を守るためにある」。演説では宇宙政策にも及んだ。 ■横浜市と川崎市にまたがる神奈川19区 「政治を変えて欲しい」分厚い無党派層の票の行方は 神奈川19区は複雑だ。横浜市都筑区と川崎市宮前区は、隣に位置するというだけで、お互い行政的なつながりは薄い。どの政党も、宮前区に入るときには川崎市議が、都筑区に入るときには横浜市議が、大きな演説会では両方が揃って…と、取材していても調整が大変だろうな、と感じる場面は多かった。