香港議会、国家安全条例案をスピード可決-中国支配が強化
(ブルームバーグ): 香港議会は、国家安全条例案を早々に可決した。同条例はオープンな経済議論を封じ、世界的な金融ハブである香港で活動する外国組織に対する管理を強化するものだとの批判がある。
条例案は19日、香港の「愛国者専有」議会が毎週開催する定例議会の前日に招集した臨時議会で、全会一致で承認された。審議開始から11日間という短期間での承認は、1997年に中国の支配下に戻って以来最速だ。
国家安全条例は香港の憲法に当たる基本法第23条に基づき法制化される。香港に中国国家を守る法を制定するための20年にわたるキャンペーンが完了したことになる。
香港の金融ハブ、観光地としての評判を高めようと政府関係者が取り組む一方で、条例可決は国家安全保障にスポットライトを当てることになる。香港の評判は長年にわたる中国政府の厳格な新型コロナウイルス規制と反対派の取り締まりによって傷付いてきた。
鄧炳強(クリス・タン)保安局長は、この法律は香港で広く支持されており、審議中に市民から集められた意見の98.6%は肯定的または建設的なものだったと述べた。国家安全保障を確実にするため「われわれは自身の法制度を強化しなければならない」と同局長は以前、中国国営メディアに語っていた。「安全保障はビジネスを行う基盤だ」と主張した。
国家反逆罪や暴動罪といった犯罪は終身刑となり、政治的反対勢力を鎮圧するための当局の手段が拡大される。この法律が広範に定義する国家機密の罪は、スパイ行為に関する中国本土の曖昧な法律と歩調を合わせるもので、昨年来、外国人投資家を恐怖させてきた。
中国の習近平政権は、2019年に香港を揺るがした大規模な民主化デモをきっかけに香港に対する支配を強化。翌年に反対勢力を抑圧する国家安全維持法(国安法)が施行された。
香港の基本法は、香港政府が独自の治安維持法を制定することを義務付けているが、03年の試みは大規模な反対によって実現しなかった。国安法によって抗議活動が取り締まられ、条例制定に道が開かれた。