机の上のサイエンス。/瑪瑙化した腹足類
ジュラ紀からやってきた瑪瑙化した腹足類。
貝の化石が生成される過程で、貝殻の成分が珪素などの石英を作る成分に置き換わり瑪瑙化したもの。石英は、その状態により様々な呼び名があるためややこしいが、顕微鏡的な小さな石英の結晶が集まった塊はカルセドニー(玉髄)と呼ばれ、その中でも、紅色になったり縞模様が入ったりする美しいものをアゲート(瑪瑙)と呼ぶ。ちなみに結晶が肉眼で見えるサイズに成長したものが水晶と呼ばれる。この標本は、北米で最も多くのジュラ紀の化石が産出しているモリソン累層から産出したもの。コロラド州キャノンシティで見つかったもので、美しい紅色のアゲート化したmesauriculstra morrisonensisをはじめ、この地を代表する小型の淡水産腹足類4種がまとまって見られる。採掘者による手描きのスケッチ付きラベルも味があって良い。美しい結晶の標本も素晴らしいが、こうした野趣溢れる標本も、フィールドへの憧れを掻き立ててくれる。 自然や科学の世界に潜む、息をのむような機能美を身近に感じるためのエトセトラを紹介。
photo: Akira Yamaguchi text & edit: Shogo Kawabata 2024年8月 928号初出
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