シンガー・ソングライター安藤裕子の愛犬シーズーは岩崎弥太郎の末裔からのプレゼント…名前も岩崎家にゆかり
ペットらいふ・安藤裕子(1)
私の家には、シーズーが1匹います。白と黒2色の毛がほわほわとした彼の名は「小弥太」(オス、6歳)。足をふにゃふにゃと折り曲げて、今日もぐでっと寝そべっています。さて、今日はそんな小弥太との出会いをつづっていこうと思います。しばしおつきあいください。 今は中学生になった娘が幼稚園を卒園したお祝いに、「回らないおすしに行っちゃうか!」と奮発した夜のことでした。 当時近所にあったそのすし店に入るのは初めて。娘は、常連のおじさんたちに交じってカウンターの席に腰掛け、「いくらと中トロとウニください」と照れくさそうにしながらも、自ら頑張って大将に注文。大人顔負けの好みにおじさんたちも「よく知ってるねえ」と声をかけてくれました。娘も大人に仲間入りしたようでうれしかったのか、上機嫌で食べ続けていました。 そのうち、私もひとりの男性と雑談を始めました。彼は幕末の話題に精通していて、「俺ねえ、岩崎弥太郎(三菱財閥の創始者)の末裔なの」とのたまうじゃないですか。「またまたあ!」と笑顔で返しても、「いやいや、ほんとだって。小弥太(4代目当主)の孫なの」と一向に引きません。周りのお客さんはにやにや。そのうち、大将が「この方、岩崎さんだよ」と教えてくれました。 「からかわれているのかな」とも思いつつ、楽しい時間を一緒に過ごしていました。話が尽きない中、今度は娘に向かって言い出したのです。「お嬢ちゃん、犬好き?」。娘が大きな声で「大好き!」と返事すると、「よーし、じゃあおじちゃんがお祝いに1匹プレゼントするよ。生まれたばっかりの子犬が1匹いるんだ」。 そう言うやいなや、誰かに電話をかけて、「じゃあ、よろしく」。「え? なに?」と私が戸惑い、「無理よ! 無理」と娘に小声で言い聞かせていると、店の扉が開き、一人の女性が現れたのです。「岩崎さん」に連れられて、店外に出てみると、女性が小さな白い毛玉のようなものを抱えていました。 「ほわあああ」。娘はそんな声を出して、白い毛玉のもとへ駆け出しました。毛玉は女性の手の上でほわほわの尻尾を振り続け、娘の手に移ると、なおさらに尻尾を振るではありませんか。ううう、なんだこの生き物は。驚くほどにかわいい。 どうにもならんな、これは。そうして断り切れずにやってきたのが、小弥太くんなのです。もちろん命名の由来は「岩崎さん」から。 小弥太は出会う人々に愛嬌を振りまく、とってもかわいいワンちゃんです。以後お見知りおきを。