タモンズ、夢破れた今も燃え続ける漫才への情熱「くすぶり方には自信がある」 『くすぶりの狂騒曲』で振り返る過去
お笑いコンビ・タモンズ(大波康平、安部浩章)がモデルとなった映画『くすぶりの狂騒曲』が公開中だ。2014年「大宮ラクーンよしもと劇場」オープンに合わせて結成された、ユニットの大宮セブンに所属するタモンズの苦悩や紆余曲折が描かれる。そんな2人にORICON NEWSがインタビュー。これまでのタモンズ、そしてこれからのタモンズについて聞いた。 【写真】仮面ライダーの変身ベルトネタで話題となったタモンズ(大波康平、安部浩章) ■くすぶり具合には自信「バッドエンドで撮りたいなら」 大宮セブン俳優陣のそっくり具合に衝撃 大宮セブンは、2014年「大宮ラクーンよしもと劇場」オープンに合わせて結成されたユニット。東京の劇場でくすぶり続けていた、タモンズ、マヂカルラブリー、GAGなどの芸人が、大宮ラクーンよしもと劇場に集められ、「島流し」と揶揄(やゆ)されながらも成功を夢見る、芸人たちの軌跡をたどる“大人たちの青春群像劇”。 映画では、タモンズの大波康平役を和田正人、安部浩章役を駒木根隆介が演じる。ほか、マヂカルラブリーの野田クリスタル役は時岡司、村上役は吉田壮辰。囲碁将棋の文田大介役は東虎之丞、根建太一役は柾賢志。すゑひろがりずの南條庄助役は伊勢村圭太、三島達矢役は金森規郎。GAG少年楽団のSJ役は高津戸信幸(MAGIC OF LiFE)、福井俊太郎役は大村わたる、ひろゆき役は重岡漠(※映画の中では、ひろゆきが脱退する前の設定)。ジェラードンのアタック西本役はカメオ(そいそ~す)、かみちぃ役は平岡亮。以上の俳優陣が、映画の中で芸人たちを忠実に再現している。 ――映画はいつ知ったのでしょうか? 【大波】プロデューサーが2代目の大宮の劇場の支配人の方で、もともと映画を撮りたいというのは知ってたんです。大宮セブンが題材の映画をいよいよ撮るとなって呼ばれました。最初に「マヂカルラブリー、すゑひろがりずを主役にするとハッピーエンドの話になる。それは嫌だ。みんなが勇気を持てるような、夢破れても頑張ってバッドエンドとなるタモンズが主役でいく」と言われまして。そんなの俺らしかおらんか、と(笑)。もうその時は、みんな活躍されていたので。 【安部】今、くすぶり方に対しては、ちょっと自信ありますから。 【大波】Pが、バッドエンドで撮りたいなら、まぁしょうがない、と。 【安部】僕は怪しいと思いましたよ(笑)。こんなに気合を入れて真剣に真面目に描くものと思ってなかったところもあって。吉本製作って聞いたら、普通は不安になるじゃないですか(笑)。でも、キャスティングで、大波役を和田さんがやるらしいとか、僕役を駒木根さんがやるらしいとか聞いた。撮影現場に行かしてもらったら、すごい皆さんが高性能なカメラを駆使して撮影していた。 【大波】撮影も、てっきりiPhone 7で撮るもんだと(笑)。 【安部】良くてGo Proぐらいかな、と(笑)。こんなちゃんとしっかりと真剣に撮っていただいてるんだ、と感じた。そこから、こんなにありがたい話だったんだっていう自覚が芽生えました。 ――映画を見ると、和田さんと駒木根さんが完全にタモンズで驚きました。 【大波】でもちょっと和田さんがかっこよすぎて。自分とは思えない仕上がりやった(笑)。結構、俯瞰(ふかん)で観させていただきました。 【安部】謝った方がいいよ。 【大波】本当に申し訳ないと思います。でも、これから僕を演じたことが財産になる日が来ると思う。 【安部】『くすぶりの狂騒曲』が爆発的なヒットしたらあると思いますけど、あなた自体にはそんな価値ないですよ(笑)。逆に駒木根さんは完璧です。超ドンピシャでした。 【大波】俳優さんってスゴい。 【安部】首の角度とか立ち方とかも。でも、本人に聞いたら「別にものまねでやってるわけじゃない」と言っていました。「自分の中に安部さんを入れたらこうなりました」みたい言っていて、やっぱり俳優さんって、すごいですよね。 ――大宮セブンのメンバーもめちゃくちゃ似ていました。 【大波】最初に俳優さんが集まった時に「ものまねをするのはやめよう」と和田さんが皆さんに言ったそうで。高度なことをおっしゃってたんで、凡人の僕にはちょっと何言っているのかよくわかんなかったんですけど。 【安部】「憧れるのをやめましょう」みたいに「ものまねするのはやめましょう」と。 【大波】「抜く」と言ってました。大波という人間を抜けば抜くほど似てくるそうです。 【安部】1回、大波の情報をバーっと入れ込んで、でも撮影では抜いていったら似てくるそうです。 【大波】スゴすぎて、ホントかウソかわからないです(笑)。 ――お2人が見て、そっくりだなと思った方は? 【安部】僕は(マヂカルラブリーの)村上さんですかね。 【大波】僕は(囲碁将棋の)文田さん。登場するときに楽屋に「おっつー」と入ってくる。あれ、やっているかはわからないんですけど、やりそうなんですよ、あの人。 【安部】ちょっとダサい感じのね。 【大波】これ、僕は言ってないですから。文田さんのあの感じを、どうやって掴んだのか。プライベートなところだから、見られないだろうし。 【安部】村上さんは、ツッコミの前の助走の部分というか。野田さんをチラチラ見ながら「あぁ、あぁ」とか言ってる、あの感じが。伝わるかわかんないですけど(笑)。 【大波】あれも似てた。ファンの方は2度楽しめると思います。ストーリーも楽しめるし、芸人を演じた方の所作も楽しめる。楽しみがいっぱいあると思います。 ――TEAM BANANAの藤本友美さんが安部さんの奥さん役で出演されています。実際は似てらっしゃるんでしょうか? 【安部】背中で演技してましたね。どんどん、うちの奥さんも大きくなってきて、だんだん藤本になりつつありまして…。「ペットボトルに口つけないで」という声のトーンも。リビングの照明の暗さとか、そういうのも相まって、すごく忠実です(笑)。 ――個人的に大好きな話の熟成肉詐欺の話も出ていました。 【大波】あれはサービスで入れていただきました(笑)。 【安部】唐突に出てきましたね(笑)。まさにあの時は金銭的にも一番、苦しかったですから。