「マイナ保険証」への切り替えが面倒です。12月から「自己負担額は同額」と聞きましたが、これまでの保険証と比べてメリットはあるのでしょうか?「なければ切り替えなくていいのでは」と思ってしまいます
マイナンバーカードの健康保険証としての利用(以下「マイナ保険証」)が進められています。マイナ保険証に切り替えることで、さまざまなメリットがあります。 一方、これまで医療機関の保険料自己負担額は、マイナ保険証のほうが健康保険証よりも安く設定されていましたが、2024年12月以降は同額になるなど、メリットとは言えなくなる点もあります。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる? マイナ保険証への切り替えが面倒で、「明確なメリットを知ったうえで納得して切り替えたい」と思っている人も多いでしょう。本記事では、マイナ保険証のメリットを再確認し、マイナ保険証を活用するためのポイントを分かりやすく説明します。
窓口自己等負担額は、マイナ保険証、健康保険証とも同額に
医療機関などを受診した際の自己負担額は、2024年11月まではマイナ保険証のほうが健康保険証より安く設定されていましたが、12月以降は同額になっています。 例えば、自己負担が3割の場合、初診時の負担額はマイナ保険証、健康保険証いずれの場合も3円という同一の金額になりました(保険点数1点10円の3割。図表1参照)。 ネット等では、変更前の情報がまだ散見されるようです。注意してください。
<図表1> 厚生労働省保険局医療課 医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて
マイナ保険証のメリットはそれ以外にもさまざまある
窓口での自己負担額が変わらないのなら、マイナ保険証を使う意味はないのでしょうか。マイナ保険証のメリットを確認しましょう。 ■メリットその1:データに基づくより良い医療が受けられる マイナ保険証があれば、過去に処方された薬や特定健診等の情報を、医師・歯科医師・薬剤師に正しくスムーズに伝えることができます。方法も簡単で、医療機関でマイナ保険証を提示して受付・情報提供に同意するだけで大丈夫です。 マイナ保険証があれば、初めて受診する医療機関・薬局でも、より良い医療が受けられます。ただし、情報の共有に時間差が発生する点に注意が必要です。 マイナポータルへの医療情報の反映は原則毎月11日で、その前月分までの情報に限られています。さらに、情報の基準となるのは、保険医療機関・保険薬局が審査支払機関(保険者から審査支払を委託された機関)へ電子請求した診療・調剤報酬明細書の情報です。 つまり、直近の調剤の情報がマイナポータルに反映されない可能性があります。 例えば、12月2日に処方された薬情報は、12月11日の審査支払機関情報の反映タイミングではマイナポータルに反映されていないことになり、12月12日にマイナ保険証を提示して医療機関にかかった際に、薬の重複処方や飲み合わせ事故が生じる可能性が否定できません。 このリスクを避けるために、従来通り、お薬手帳も持参することをお勧めします。 ■メリットその2:手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除される 高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月で一定の上限額を超えた場合に、超過金額を健康保険から支給してもらえる制度です。 従来、支給を受けるためには、医療機関・薬局の窓口で全額を支払った後に、支給申請書を提出する必要がありました。 事前に「限度額適用認定証」を申請していれば、窓口負担を上限額に抑えることができますが、申請が間に合わなかった場合は、高額な費用全額を一時的に支払わなければいけません。 マイナ保険証を持っている場合は、このような事前準備がなくても、マイナ保険証を提示して「限度額情報を提供する」ことに同意さえすれば、最初から限度額負担で済ませることができます。 なお、この取り扱いは、オンライン資格確認を導入している医療機関であれば、現行の健康保険証でも対応してもらえます。健康保険証を提示して「オンライン資格確認システムで限度額情報を利用してほしい」と申し出てください。これら2通りの方法について図解したものが図表2です。