離婚後「養育費が支払われない」率71.9%。不払いが引き起こすシンママの貧困化を改善する方法とは
「子の連れ去り違憲国家賠償訴訟」の共同代理人を務める神奈川法律事務所所属の弁護士・大村珠代先生に、この問題について5話連続で詳しくお話を伺うシリーズです。 普段DV・モラハラを受ける女性の声を聞く機会が多い編集部は、引き続き「DVから逃げきれなさそうな」共同親権には懐疑的な立場でお話を伺っています。 *タイトルは令和3年度全国ひとり親世帯等調査による
共同親権は「話し合い」が基本。シンママの貧困化を改善する可能性がある
繰り返しになりますが、共同親権問題は一見するとDVから逃げるための子の連れ去りに結びついているように思われがちですが、そうではなく、離婚のあとのシンママの困窮防止のほうに結びついています、と大村先生。 「共同親権のほうが女性にもメリットが大きいのです。現状は交通事故にあった、学費が足りないなどのピンチも片親で乗り切らざるを得ないケースが多々ありますが、実は離婚しても親としての責任が免除されるわけではありません。なのにこれまで、単独親権という制度や、親権という用語から、親の権利のほうが重視されてきました。子どもを養育保護する親の責任としてはとらえられてこなかったのです。結果的に、親権がないことで、親の責任もなくなると誤解されてきたように思います」 まさに、私も、親権の放棄とは「親でいる権利と義務を放棄する」のだと考えていました。 「子どもと全く会えない、または会える頻度が少ないと親子が疎遠になり、悲しいことですが、親は子どもを忘れていきます。子どもに養育責任を負っていることも忘れてしまうのです。これは、子どもへの責任を放棄させることだと思いませんか」 なるほど、単独親権だと負うべき義務に目隠しをしてしまうとも言えそうですね。共同親権として養育の場面でも子どもとの交流を持ち、楽しい時間を過ごすことで、より責任を果たしてもらうという考えですね。 「そもそも、父権が子どもや妻に対する支配権だった状態のままであることが異常なのです。離別した子どもがわざわざ貧困へ突き進んでしまう現状は明らかに間違っています。このまま制度が変わらないと、私たちの子どもの世代もシングルを選択すればワンオペで貧困に陥る未来のまま。そんな状態は間違っています。子の連れ去り問題、共同親権問題の根底に潜むハードルが正しく理解され、改善されることを願ってやみません」