【町工場の挑戦】ブドウ畑はないけれど…社員10人の町工場がワイン造りに奮闘 農業とは縁遠い町に開設した初のワイン醸造所 「ワインは1+1が“3”にも“4”にも“0”にもなるからおもしろい」 愛知・春日井市
お酒造りの経験ゼロ、全く別業界の町工場が、社員総出でワイン造りに挑んでいます。ふか~い味わいの奥には、ふか~い思いがありました。 【動画】社員10人町工場がワイン造り
「ワインを造りたい!」 愛知・春日井市の町工場がゼロからの挑戦
9月25日、愛知県春日井市のとある場所に大量のブドウが届きました。その量、なんと1トン! 入り口をふさいでしまうほどです。“デラウェア”という日本でも昔から食べられている品種ですが、暑さの影響か、今年は少し酸味が強いといいます。この大量のブドウで、一体何をするのでしょうか。
実はここ、春日井市で初めて開設されたワインの醸造所「春日井ワイナリー春の風」。去年からワイン造りを始め、今年で2年目を迎えました。このワイナリーで造っている赤・白・ロゼ合わせて5種類のワインは、どれもすっきりとした甘さと華やかなブドウの香りが特徴です。
この日は、ワインを仕込む1年で最も忙しい日。届いたブドウを機械にいれて軸から実を取り外したあと、圧搾機にかけてゆっくり絞り、タンクで3~4か月発酵させます。大量に届いた“デラウェア”は、こうして白ワインに生まれ変わるのです。
社長の船戸さんはお酒が好きで、自分で造ってみたいとワイナリーを開業しました。しかし、ラベルの製造者の欄には「船戸電機」というワインに似つかわしくない文字が…。 実は船戸さん、このワイナリーの社長であると同時に“町工場”の社長でもあるのです。先代の父親が始めた“町の電器屋さん”から徐々に業種を変え、今は電機制御盤などを製造・販売しています。
住宅街と町工場が入り交じり、ブドウ栽培などの農業とは縁遠いイメージの春日井市。そんな町で船戸さんがワインの製造に乗り出したのには、“お酒が好き”以外にも理由がありました。 船戸隆博社長: 「産業自体が衰退とは言わないですけど、賃金が安くて、なり手が少ない。農業もそうですけど、そういうのをなくしたい。なかなか農業に参入することもできず、一から造れるのがワインだった」 年々苦しくなる日本の産業を少しでも残したい。工場の他にワイン造りを始める事で、働く人や農家を助けられるのでは…と考えたのです。
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