渡辺康幸が占う箱根駅伝2025 初の総合優勝を目指す今季二冠の國學院大の強さとは? エース平林らの区間配置は?
【2区はエース・平林の3年連続出走が濃厚】 ――区間エントリーでは、平林選手は2区出走が濃厚な気がしますが、いかがでしょう? 渡辺 たとえば平林選手を5区に持っていってしまうと、ほかに2区を走る選手が見当たらないと思います。ここで青学大の黒田朝日選手(3年)や篠原倖太朗選手(4年)がくることが予想されるので、1時間6分台前半の可能性を秘めたふたりに主導権を握られてしまうと、その後の区間に影響が出てきますから。 僕は、國學院の5区、6区は前回走った上原琉翔選手(3年)、後村光星選手(2年)を起用すると思います。ふたりとも前回は区間17位、区間10位だったのは体調不良が原因だったと聞いているので、今季の出来からすれば区間5位以内の計算は立つと見ています。 ですので、2区は3年連続で平林選手を使ってくると思います。 ――前田監督は、「復路で勝負できる布陣にしたい」という主旨のコメントをしています。駒大の藤田敦史監督も同様のコメントをしています。 渡辺 そういう心理的な細かい駆け引きはあって然るべきだと思います。青学大を序盤から先頭に出してしまうと、そのまま独走してしまう危険性はありますが、今回は両校とも前半区間でも青学大に対抗しうる戦力ですし、「復路勝負」と言うのは、それだけ全体的な戦力に自信があるからだと思います。 箱根の予想って、当てにいくと外れることが多いんですよね(笑)。それが面白さでもありますが、前回は駒大が三冠すると思っていたら青学大の圧勝となりました。 近年は優勝候補の力が拮抗していますし、今回も國學院大、青学大に駒大も強いので、三強はどこが勝ってもおかしくない状況ではあります。 ――今季の駅伝シーズン前は、國學院大の前評判も高かったですが、青学大の三冠の可能性も秘めたチーム力と言われていました。 渡辺 だから、出雲がポイントだったんです。青学大はベストメンバーで臨んで結果が出せなかったことが、ここまでの勢力図の流れを決めていると思います。 第2回(全3回)につづく ⚫︎プロフィール渡辺康幸(わたなべ・やすゆき)/1973年6月8日生まれ、千葉県出身。市立船橋高-早稲田大-エスビー食品。大学時代は箱根駅伝をはじめ学生三大駅伝、トラックのトップレベルのランナーとして活躍。大学4年時の1995年イェーテボリ世界選手権1万m出場、福岡ユニバーシアードでは10000mで優勝を果たし、実業団1年目の96年にはアトランタ五輪10000m代表に選ばれた。現役引退後、2004年に早大駅伝監督に就任すると、大迫傑が入学した10年度には史上3校目となる大学駅伝三冠を達成。15年4月からは住友電工陸上競技部監督を務める。学生駅伝のテレビ解説、箱根駅伝の中継車解説でもおなじみで、幅広い人脈を生かした情報力、わかりやすく的確な表現力に定評がある。
牧野 豊●取材・文 text by Makino Yutaka