【独占】KYNE初の大規模個展はなぜ〈福岡市美術館〉なのか?
展示を締めくくるzone5には新作絵画群が。これまでの作品にはあまりなかった女性の全身像や背景を描きこんだ作品が並ぶ。 「作品サイズが大きくなるにつれ、引きの絵も描くようになり、絵画的な手法にも挑戦しています。背景に用いた階段は原始的な構造且つ普遍的なモチーフ。限られた色調の中で、奥行きや上下の関係を表現できる点が良くて」
こうして過去から現在までの作品を辿って見ていくと、作品名のほぼ全てが《Untitled》だと気づく。 「グラフィティは作品名どころか作者名も明かされないことがほとんど。情報がない状態で発信する方がおもしろいなと。また、作品の中に物語は必要ないとも思う。自分には福岡で活動してきて出会えた人や得られた経験があって、その結果を作品にも投影している。つまり、深読みしたり、ストーリーを想像しなくても成立する。観る側も、絵を絵として純粋に楽しんでもらえたら嬉しいです」
『ADAPTATION-KYNE』
約1200平米の展示空間に新作の巨大壁画を含む絵画や版画、立体、ドローイングなど約150点を公開。オリジナルグッズも必見。〈福岡市美術館〉福岡県福岡市中央区大濠公園1-6。TEL 092 714 6051。~2024年6月30日。9時半~17時半(入館は閉館の30分前まで)。月曜休館。一般 1,700円。
photo_Yoshikazu Shiraki text_Mariko Uramoto