【郡山市誕生100年】未来へ何を託すか(11月1日)
郡山市はあす2日、市制100年の式典を催す。1924(大正13)年、本県3番目、全国99番目の市として誕生し、今や東北地方をけん引する中核市となった。本県の中心部に位置し、道路、鉄道、空港が結節する高速交通の要衝だ。周辺市町村を含めた郡山都市圏への注目度も高まっている。市民も自分の街の歴史と先人の歩みを振り返り、新たな100年に向けた街づくりを考える機会としてほしい。 郡山市の歴史は、明治初めの安積開拓と安積疏水開削で飛躍的に発展した。地元の出資と旧藩士らによって動き出した事業は、当時の内務卿大久保利通の肝いりで全国初の国営事業として実施されることになる。九州、四国からも士族が入植し、猪苗代湖の豊富な水が豊かな土地を形成していく。疏水に伴う発電事業は地域経済を大きく伸展させる。電力を活用した紡績工場など工業の発展で人口は増え、小原田村との合併で3万人を超え郡山市が生まれた。 この100年、大戦や自然災害など多くの困難に直面したが、その度に戦災復興都市(1946年)、新産業都市(1964年)、郡山地域テクノポリス(1986年)、中核市(1997年)の指定を受け、常に本県の重要都市として成長してきた。震災後も世界保健機関(WHO)が推進するセーフコミュニティ国際認証の取得(2018年)や内閣府によるSDGs未来都市の選定(2019年)、近隣市町村と連携した「こおりやま広域圏」の形成(2019年)などを進めている。
実際の市制施行日は9月1日で、本来は今年の同日に「祝賀花火」打ち上げや、記念楽曲公開などの記念事業を予定していた。しかし、台風10号の影響で延期せざるを得なかった。郡山市は今年、1年間にわたって100周年の冠を付けた多彩な事業を繰り広げている。その数は新規や既存に民間団体の事業も合わせて約150に及ぶ。 そこには、多くの市民に自らの街の歴史を意識してもらいたいとの思いが垣間見える。街の未来を創るのはその土地に住む市民であり企業、団体だ。街の歴史や先人に思いをはせ、新たな100年に歩む若者や未来を担う子どもに自分たちは何を託すのか、それぞれの立場でしっかりと考えてほしい。(関根英樹)