プーチン氏と金氏の結束、世界にとってなぜ危険か-QuickTake
兵器取引が拡大すれば、ロシアは軍事技術供与を一段と進め、地域にとって北朝鮮の脅威は増すと申氏は警告した。ロシアにこれまで供給された弾薬は数十億ドル相当にも及び、その対価として金正恩氏が受け取っている支援は、北朝鮮経済にとって前指導者の金正日氏が2011年に死亡して以降最大級の追い風となっている公算が大きい。プーチン氏の訪朝は金氏にとって国内向けに「強力な国際的立場を示すことができ、政治的な価値」があると、外交問題を専門とするシンクタンク、スティムソン・センターのシニアフェロー、ジェニー・タウン氏は指摘した。
会談がウクライナ侵攻にもたらし得る影響は
過去数カ月、金氏は弾薬製造工場の訪問や兵器実験の監督を繰り返している。これらをロシアに送る可能性があるからだと、韓国はみている。兵器専門家によると、この中には誘導ミサイルシステムを備えた推定射程距離40-60キロの240ミリ多連装ロケット砲などがある。北朝鮮はまた、推定射程約110キロの短距離弾道ミサイルの実験も行った。北朝鮮軍に関する共同著作がある兵器専門家、ヨースト・オリーマンス氏は、これまでより頻繁に使用できるようになった戦術弾道ミサイルシステム「ATACMS」と誘導型多連装ロケットシステム「GMLRS」で「大打撃を負わせている」ウクライナの優位性を、北朝鮮の兵器が打ち消せる可能性もあると指摘。ただ、北朝鮮製兵器は一部の米国製兵器ほど強力ではないかもしれないとの見方も示した。
北朝鮮製の兵器の質については、全般的に疑問視されている。それでも大量の弾薬の存在でロシア軍はウクライナ軍の動きを封じることができ、北朝鮮の弾道ミサイルはウクライナに供給された米国製迎撃ミサイルを消耗させることができる。
米国にとっての影響は
北朝鮮の兵器がロシアに供給されればされるほど、ウクライナが米国や欧州に多くの軍事支援を求めるようになる。北朝鮮がロシアから受け取る支援が増えれば、非核化協議の開始を求める米国の要請を金正恩氏が無視し続けることも容易になる。北朝鮮に軍事技術が提供されれば、東アジアで大半の米軍が駐留する日本と韓国に北朝鮮が強力な攻撃を行える能力も高まり、米本土に核弾頭を撃ち込むことも恐らく可能になるだろう。韓国のテレビ局YTNによると、プーチン氏と金氏は緊急時の軍事介入を認める協定にも調印する見通し。これは軍事行動のリスクを強めるもので、米国の有事計画策定を複雑にする恐れがある。