プーチン氏と金氏の結束、世界にとってなぜ危険か-QuickTake
(ブルームバーグ): ロシアのプーチン大統領が24年ぶりの北朝鮮訪問を準備している。ウクライナ侵攻継続に必要な弾薬を提供してくれた北朝鮮の指導者、金正恩朝鮮労働党総書記との新たに芽生えた絆を深めるためだ。米国とその同盟国がロシアと北朝鮮をそれぞれ孤立させようと取り組む一方で、両国はコモディティーや兵器の取引を活発化。ロシア軍は北朝鮮による供給のおかげで、ウクライナに毎日大量の弾薬を放つことができている。これと引き換えに北朝鮮はロシアの軍事支援を受けた可能性が高く、米国や東アジアの米同盟国にとって脅威は増した。
プーチン氏が金氏と平壌で会談する理由は何か
ロシアは北朝鮮の支援をまだ必要としている。高級車の好きな金氏のためにプーチン氏は今年に入りロシア製リムジンを贈ったが、兵器を提供してくれた金氏にはそれ以上の感謝の意を示さなければならない。金氏は昨年9月にロシアでプーチン氏と会談した際、北朝鮮訪問を招待していた。
衛星画像によると、この会談以来、北朝鮮からロシアへの兵器輸送は急増した。北朝鮮はロシアがウクライナの前線に展開する兵器で使用可能な弾薬と、その部品で世界最大級の備蓄を抱える。国境を接する両国の国際貨物列車はこの国境を越えればいいだけで、貨物船も互いの領海を出ることなく往来できる。このため取引が妨害される恐れはほとんどない。ロシア大統領府はプーチン氏が18-19日の日程で北朝鮮を訪問すると発表した。
ロシアの望みは何か
砲弾やロケット弾、短距離弾道ミサイルのほか、戦車「T-54」や「T-62」などロシアがウクライナで展開する一部兵器の部品だろう。ウクライナが米国と欧州の支援国から数十億ドル相当の新たな兵器供給を受けることを踏まえれば、ロシアはとりわけ北朝鮮からの兵器調達を目指す動機がある。
北朝鮮の望みは何か
たくさんある。潜水艦や偵察衛星のプロジェクトを支える資金やコモディティー、技術などを必要としている。北朝鮮では小さな支援が大きな意味を持つ。北朝鮮の国内総生産(GDP)は2022年で約245億ドル(約3兆8700億円)だったとみられ、1人当たり所得は韓国の3.4%に過ぎない。ロシアはこれまで北朝鮮に食料、原料、兵器製造に必要な部品などを供給していると、韓国の申源湜(シン・ウォンシク)国防相は述べていた。