《日本を襲う野菜危機》「イチゴ1パック2000円」でも青果業者は「それでも安すぎる」と苦悩…その「最大の原因」
市場関係者にとっても「未知の領域」
困惑しているのは消費者だけではない。青果物の流通を担う卸売市場関係者の間では、それ以上に戸惑いと不安の声が広がっている。 首都圏のある青果卸関係者は「今までの常識がまったく通用しない状況になっている。これまでは『しばらくすれば元に戻るだろう』という感覚だったが、今回ばかりは年が明けても野菜が市場に出てくるかどうか全く予想できない」と嘆く。 関西の青果仲卸関係者からも「(現在の状況は)未知の領域」と戸惑いの声が聞かれ、別の関係者は「この先、日本人が野菜を食べ続けることができるのか、本気で考えなくてはいけない」と危機感を露わにする。 このように、青果物の価格高騰の行く末は、もはやプロでさえ予測できない局面に入っているのだ。
それでも野菜の値段は「安すぎる」
だが、実は関係者の間では「今後はこれくらいの価格が当たり前になると思ってもらったほうがいい」という意見もある。インフレに苦しむ消費者の立場からは反感を買うかもしれないが、生産者や青果物販売を生業としている関係者からすれば、今の値段は間違いなく「安すぎる」からだ。 農林水産省が毎年公表している「農業物価指数」というものがある。これによると、野菜を出荷する生産者が受け取る価格指数は、2020年を100とした場合、2023年は113.3と10%ほど上昇した。 だが、同時に野菜の栽培に必要な肥料の価格変化を見ると、同じく2020年を100とした場合、2023年の指数はなんと147まで上がっている。わずか3年で5割近くアップしているのだ。 肥料だけではない。トラクターやビニールハウスの加温に必要な燃料費などを示す「光熱動力」の価格指数も126.9まで高騰した。生産に必要な原材料費が何もかも値上がりしている以上、生産者への還元額がコストに見合っているとは到底言い難い状況だ。 ………… 【つづきを読む】『「このままでは日本人は野菜を食べられなくなる…」異常気象でイチゴもクリスマスケーキも高騰、《野菜の奪い合い》が激化し未曾有の「野菜ショック」へ』
市村 敏伸(農と食のライター)
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