【24年も5位フィニッシュ。J1鹿島はなぜ8年連続国内無冠で終わったのか(1)】知念・濃野がベストイレブン入りし、師岡らも成長見せるが、打開しきれなかった鈴木優磨の得点力依存
■J1制覇の可能性が残る中での監督解任
数字上ではまだJ1タイトルの可能性が残っているタイミングでの強化トップと監督の解任…。これは信じがたい出来事だった。上層部はいち早く2025年へ向けて舵を切ったということなのだろう。小泉文明社長から直々に就任を要請された中田浩二FDは、ポポヴィッチ体制のスタッフだった中後雅喜コーチを監督に抜擢。さらにパリ五輪が終わったばかりの羽田憲司コーチを暫定的に呼び戻し、指導に当たらせた。 中後・羽田体制では「まず堅守の鹿島を取り戻さないといけない」という意識が強く、伝統の4-4-2に回帰。師岡をトップに据え、鈴木優磨を左に回す形で10月19日のアビスパ福岡戦に挑んだ。が、守りの前進は見られたものの、攻め手を欠いてしまう。これを踏まえ、続く11月1日の川崎戦では鈴木と師岡の2トップに変更。三竿を右SBに据えるという変化をつけ、長年の宿敵を3-1で撃破。弾みをつけることに成功した。 けれども、終盤の重要局面となった名古屋グランパス、京都サンガ戦をドロー。この足踏みでタイトルもAFCチャンピオンズリーグ圏内も遠のいた。セレッソ大阪、町田とのラスト2戦を連勝し、中後・羽田体制を無敗で乗り切ったが、最終順位は5位。ラスト2戦で鈴木優磨と師岡が連発し、鈴木が国内キャリアハイの15点を達成。師岡も大きな成長の跡を見せただけに、「もう少しこのまま続けたかった」という思いも選手たちには少なからずあったかもしれない。 いずれにしても、激動の2024年はこれで終焉を迎えた。確かに成果も多く見られたが、タイトルが取れなかったのも事実。中田FD中心に今季を徹底検証することが肝要だ。 (取材・文/元川悦子) (後編へつづく)
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