【小倉競輪(ナイター)GⅠ競輪祭】脇本雄太が大会初制覇、グランドスラムに王手
小倉競輪の6日制ナイターGⅠ「第66回競輪祭」は最終日の24日、12Rで決勝戦があり、近畿ラインの番手から捲りを放った脇本雄太(35)=福井・94期・SS=が1着。優勝賞金4700万円を獲得した。脇本のGⅠ制覇は2022年オールスター(西武園)以来8回目。競輪祭Vは初めてで、グランドスラムに王手をかけた。2着は終HS4番手から捲って脇本後位にハマった犬伏湧也。3着は2角で目標の犬伏に離れながらも脚を伸ばした松浦悠士。グランプリ出走へは決勝2着が必要だった松浦は、5年間守ったS級S班から陥落することとなった。6日間の総売上額は132億643万8700円(目標額140億円)だった。
■ヒーロー 脇本雄太が、2年ぶりのGⅠ制覇にほおを緩めた。レース直後、「ホッとしています。素直にうれしいです」。ライン3車の番手から抜け出して、近畿勢としては1965年の加藤晶(京都)以来の制覇。「近畿が勝っていない意識はあった。払拭(ふっしょく)したい大会だった」。脇本自身も、4年前には圧倒的人気に応えられず、初戦落車で途中欠場するなど苦い経験が続いていた。ようやく59年ぶりに〝近畿の鬼門〟を突き破った。 同じ失敗を繰り返さなかった。レースは10月の寬仁親王牌決勝と同様に、寺崎浩平をマーク。「前回の失敗があるから、それをしっかり糧にできた」と絡まれて連結が外れた一戦で成長を遂げていた。寺崎は後ろ攻めから猛スピードで赤板を通過し、ライバルのライン先頭の犬伏湧也を叩き切った。脇本は「しっかり切ってくれた」と後輩の好走に感謝。2番手を走りながら、「終HSでは、いつでも行けるように構えていた。でも本当に来たので驚いた」と犬伏のスパートに反応。1角から番手捲りを放った。あとは持ち前の脚力で押し切るだけ。「後ろが犬伏君がどうかは分からなかった。距離が長くて無我夢中だった」と死力を尽くしてハンドルを投げた。 「去年オールスターで大けがをして、まだ本調子ではない。でも少しずつですが復調してきている」。2月の豊橋GⅠ全日本選抜でグランドスラムに挑戦することになるが、「まずはグランプリ。疲れを取って、合宿したい。後輩たちのおかげで優勝できた。かみしめながら、GPに向けて頑張りたい」。古性優作とのコンビで、今度は近畿にチャンピオンユニホームを奪回する。(野口雅洋) ◆脇本雄太(わきもと・ゆうた)1989年3月21日生まれの35歳。福井市出身。県立科学技術高卒。2008年7月、福井支部94期としてデビュー(福井1、1、(2))。通算成績は967走で408勝、通算優勝66回。ビッグレース制覇はGPグランプリ(22年)、GⅠオールスター(18、22年)、寛仁親王牌(18、20年)、日本選手権(19、22年)、高松宮記念杯(20年)、GⅡウィナーズC(19、24年)、GⅠ競輪祭(24年)。全日本選抜を優勝すると、史上5人目のグランドスラム達成となる。2022年の年間獲得賞金は3億584万2300円で、史上初の年間賞金3億円超えを記録した。通算取得賞金は12億7824万3348円。ホームバンクは福井。180センチ、72キロ、太もも60センチ、A型。 【決勝VTR】8番車の菅田もSで出たが、3枠の荒井が阻止して犬伏―松浦―荒井、菅田―松谷、浅井、寺崎―脇本―村上の初手。赤板で突っ張り先行を狙う犬伏を寺崎が叩いて近畿3車が先頭。4番手に入った犬伏は終HSで捲ろうと出たが、1角で脇本が番手捲り。村上が踏み出しで離れて脇本後位は犬伏。松浦も口が開いての犬伏追走。脇本の勢いは最後まで衰えずV。犬伏は1車身差で2着。さらに3車身離れた松浦が3着。