「ポスト103万円の壁」に就職氷河期支援 国民民主・玉木氏、参院選に向け政策の「幅」
国民民主党が夏の参院選に向けた政策の〝弾込め〟を始めた。所得税が発生する「年収103万円の壁」の引き上げに続き、重点政策として就職氷河期世代への支援を打ち出した。先の衆院選では103万円の壁が党躍進の原動力となったが、党外からはワンイシュー・ポリティクスとの批判もあった。就職氷河期世代対策を含めた幅広い政策を示して参院選での勝利に結び付けたい考えだ。 ■参院選の主要な公約に 玉木雄一郎代表(役職停止中)は6日夜、BSフジ番組で「ポスト103万円の壁」となる政策の具体案を問われ、就職氷河期対策を掲げた。玉木氏は政府の対策が手薄になりつつあると指摘し、「就職氷河期世代は政治が作り出した一つの世代だ。政治は責任をとらなければならない」と述べた。「単発的に何か思いつきで言っているのではなく、大きな政策体系に基づいて組み立てている」とも強調した。 平成5~16年ごろに大学や高校を卒業した就職氷河期世代は約1700万人いるといわれており、不本意に非正規雇用で働く人が50万人と推計されている。他世代に比べ、国民年金保険料の納付率が低いなどの指摘があり、政府も正規雇用者増を目指す。国民民主はすでに党内議論を始めており、玉木氏は「しっかりアプローチできる政策を出していきたい」と語った。党関係者も「参院選で主要な公約に位置付けることになる」と話す。 ■「総合商社」となれるか 国民民主は現役世代の「手取りを増やす」政策を掲げ、先の衆院選で議席を公示前から4倍に増やした。103万円の壁の引き上げは令和7年度予算案が衆院を通過する前後の2月末から3月初旬には結論が出る見通しで、その後、参院選までは4カ月以上も時間が空いてしまう。支援する労働組合幹部は「憲法から外交・安全保障、エネルギー政策などの幅広い政策があるにも関わらず、打ち出し切れていないのはもったいない」とこぼす。 国民民主は先の衆院選で現役世代に照準を絞り、「対決より解決」路線が好感されて民意をつかんだ。政党支持率でも野党第一党の立憲民主党を抜く世論調査も増えてきた。現役世代を軸に据えた経済政策だけでなく、外交・安全保障、エネルギー、食料安全保障など幅広い政策を持つ「総合商社」と受け止めてもらえるかどうかが、今後の党勢を占う試金石になりそうだ。(永原慎吾)