投資家が知っておくべき「インサイダー取引」の要件 「偶然聞いてしまった」でもNG、損失が出てても罰則 判断に迷う場合は取引を控えるのが賢明
金融庁に出向中の裁判官と東京証券取引所の社員のインサイダー取引が相次いで発覚した。インサイダー取引とは一体どのようなものなのか。どのようなケースが該当し、気をつけるべき点はどこか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第116回は、「インサイダー取引」について。 個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さん
* * * 金融庁に出向中の裁判官と、東京証券取引所の社員のインサイダー取引が、立て続けに報道され、株式市場はざわつきました。加藤勝信・金融担当大臣が「あってはならないことであり大変遺憾」とコメントを出したことも、事の重大さを表しています。各ニュース番組でも、日本取引所グループの最高責任者である山道裕己氏が、陳謝している映像が流されました。 インサイダー取引は、けっして他人事ではありません。株式投資を行っていれば、そうとも知らずやってしまう可能性もあります。
インサイダー取引とは?
インサイダー取引とは、会社の内部者や関係者が、未公開の重要な情報(インサイダー情報)を利用して、その会社の株式などを売買する行為です。重要な情報というのは、TOB(株式公開買い付け)、合併、M&A、自社株買いなどなど、株価に影響を与えるであろう情報すべてが当てはまります。よいニュースだけでなく、発表前に業績の大幅悪化の情報を知って、株式を売ることもインサイダー取引に当たります。 規制対象者は、その企業の役員、従業員、取引先企業の関係者、職務上重要情報を知り得る立場の人、さらには、それらの人から情報を受け取った人もなり得ます。たとえば、自社が取引先上場企業に買収されることを知った社員が、その上場企業の株を買収発表前に買うなどもインサイダー取引となります。また、未公表の好業績情報を役員が友人に伝え、その友人が株を購入するのもインサイダー取引に当てはまります。
【関連記事】
- 《上昇期待の割安成長株19を大公開》株式投資で資産2億7900万円のサラリーマン億り人・弐億貯男さんに聞く「銘柄選びのポイント」と「具体的な注目銘柄」
- 【上場企業「平均年収ランキング」TOP200】高給取りの代名詞「総合商社」と「メガバンク」で分かれた明暗 2位・三菱商事は驚異の2090万円
- 「皇居を見下ろす丸紅役員室の威力は抜群だった」…リーマン・ブラザーズから371億円を詐取した日本人が明かす“地面師たち顔負け”の「なりすまし手口」
- 億り人の元消防士・かんちさんが「廃止」が相次ぐなか「まだ魅力的」と推す優待銘柄8選
- 《株主優待が健在の10銘柄》桐谷さんが配当も期待できる銘柄を見つける極意をアドバイス カギは「生活圏で使える優待券+実質利回り4%」