「PFP1位を狙うなら井上尚弥を倒すしか…」26歳中谷潤人“完璧なKO”に冷静な英国人記者も絶句「(中谷が)負ける姿は想像できない」
中谷潤人(M.T)の強さはまたも圧倒的だった。10月14日、有明アリーナで行われたWBC世界バンタム級タイトル戦で王者・中谷はペッチ・ソー・チットパッタナ(タイ)に強烈な6回TKO勝ち。これまでダウン経験がなかったベテランを左ストレートで2度も倒しての完勝で、戦績を29戦全勝(22KO)に伸ばした。 【衝撃写真】「強すぎるでしょ…」中谷潤人のエグい左が顔面をとらえた決定的瞬間「あ、アコが砕けそう…」肩車されるカワイイ拳四朗、血だらけでも映える天心、堤vs拓真“アツすぎる激闘”など異例の2日間興行を全部見る(全100枚超) 3階級目となったバンタム級でも快進撃を続ける26歳は今後、どこに向かうのか。統一戦の相手候補とされた井上拓真(大橋)が13日に敗れた後で、ターゲットとすべきは誰なのか。そして、世界中のボクシングファンが待望するスーパーファイト、井上尚弥(大橋)戦に近づいていると言えるのか。 試合後、リングマガジンの元編集人であり、現在はスポーティングニュースで健筆を振るう英国人ライター、トム・グレイ氏に意見を求めた。グレイ氏は軽量級、アジアのボクシングにも精通しており、その言葉には常に説得力がある。 【以下、グレイ氏の一人語り/全2回の1回目、後編も公開中】
「実力差は歴然としたカードだった」
今回も中谷はパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングにランクされるボクサーらしい強さを見せてくれました。正直なところ、私はもう少し早く決着がつくのではないかと思っていました。タイ出身の挑戦者は76勝(53KO)1敗という見事な戦績を引っ提げての来日でしたが、強敵相手の勝ち星はほとんど含まれていません。 ぺッチが示したことがあるとすれば、一定の打たれ強さを備えていること。初回、2回に左をもらい、コンビネーションを浴びたにもかかわらず、粘りは見せました。とはいえ、結局は中谷が2度のダウンを奪って格の違いを見せつけ、特に最後のKOシーンは見事だったと思います。 ぺッチがいい戦いをしているなと思えたラウンドは、両選手が近い距離でパンチを交換し合った5回くらい。その回も中谷はあえてその位置に立ったように思え、主導権は常に王者の手中にありました。序盤は比較的静かな戦いではありましたが、支配的といえる内容、結果だったと思います。先ほど話した通り、ぺッチが予想以上に中谷のパンチに耐えたこと以外、実力差は歴然としたカードではありました。 中谷にとってバンタム級はもう3階級目ですが、最近の試合を見ていても弱点らしきものは見えてきていません。残された懸念点は、評価を上げていた頃の井上尚弥と同じく、強打をもらった時の耐久力だけでしょう。 井上尚弥に関しても、その面のテストはノニト・ドネアとの第1戦まで待たねばなりませんでした。あの試合でのモンスターは何発か強烈なパンチを浴び、右目眼窩底骨折を負いましたが、最後まで戦い抜いてタフネスを証明したのです。遅かれ早かれ、中谷も同じように試される時がくるのでしょうが、できれば井上尚弥との対戦前にそのテストが訪れてほしいものです。
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