NY市警、保険会社幹部殺害の容疑者のDNAを採取-鑑定結果待ち
(ブルームバーグ): ニューヨーク市警は米ユナイテッドヘルス・グループの幹部、ブライアン・トンプソン氏を殺害した犯人の特定につながり得るDNA鑑定の結果を待っている。同氏は4日早朝、ニューヨーク市マンハッタンのホテル「ニューヨーク・ヒルトン・ミッドタウン」の外で射殺された。
事情に詳しい関係者によると、捜査当局はジーグフェルド劇場があったビルの路地で発見されたエトスのウオーターボトルからDNAを採取した。犯人が逃走に使用した電動自転車をあらかじめ置いていたと思われるその路地は、モトローラのプリペイド型携帯電話を落とした場所でもあったという。警察はまた、容疑者がトンプソン氏を射殺する前にゴミ箱に落としたスターバックスのカップからもDNAを採取した。
これらの遺留品は4日に鑑定に回され、3日以内に結果が出る見込みで、捜査が進展する可能性がある。捜査は、マンハッタンのアッパー・ウエスト・サイドにあるホステルにチェックインした容疑者の特定を中心に進められている。警察とニューヨークのアダムズ市長は容疑者の特定に協力するよう市民に呼びかけ、情報提供者には1万ドル(約150万円)を支払うとしている。
かつてニューヨーク市警の犯罪捜査班を率いたマイケル・キング氏は、DNA鑑定で犯人を特定するためには、容疑者に刑事事件での前科があるか、本人か家族が市販の遺伝子データベースに登録されている必要があると注意を促した。特に5日に警察がマスクをしていない容疑者の写真を公開した後では、数日以内に容疑者を特定できる可能性が高くなるという。
映像には、ホテルに到着したトンプソン氏を待ち構える犯人の姿が映っていた。ホテルの前で回収された薬きょうと実弾には、「delay(遅延)」および「depose(追放)」という文字が書かれていたと、事情に詳しい関係者が今週ブルームバーグに語った。これらの文字は、保険会社が保険金請求を拒否するために使うとされる手口を表現した書籍のタイトル「Delay, Deny, Defend(遅延、拒否、防御)」に似ている。