大玉に育ったすいかの出来を確認する宮木さん＝砺波市東別所

　砺波市栴檀山（せんだんやま）地区の農家が特産品化に取り組む「ふく福すいか」の出荷が30日に始まる。昨年は7月の豪雨で畑が浸水し、猛暑の影響で出荷数が大幅減となった。今年はカラスや強風に苦しめられたものの、例年以上に大玉が多い。生産者の宮木武司さん（51）は「昨年の分までお客さんを喜ばせたい」と再起の夏に意気込んでいる。 　ふく福すいかは同地区の「ふく福柿出荷組合」の組合員ら5人が粘土質の土壌で栽培する。出荷開始は2019年からだが、甘くてみずみずしいのが特長でファンを増やしている。 　昨年7月の大雨では畑に水がつき、出荷間際のスイカが被害を受けた。黄色の実の「サマーオレンジ」などが全滅。暑さや強い日差しで果皮が変色する「日焼け」被害もあり、出荷数は約400個にとどまった。例年の半分以下の量しかなく、8月上旬で販売終了を余儀なくされた。 　今年は約60アールの畑のうち、水につかった約30アールをあきらめ、水害の懸念が少ない別の場所で約30アールの畑づくりを行った。ただ、4月の強風やカラス被害を受け、1000～800株にとどまり、収量は目標の2000個以上に届かず、1千個程度になる見通しだ。 　昨年の豪雨で宮木さんは、水に浮かんでダメになったスイカが転がる姿にぼうぜんとした。予約注文した人には泣く泣く断りの連絡を入れた。一方で常連客から「来年は楽しみにしている」と優しい言葉をかけられたのが励みになった。 　今年は10キロ以上の玉が半分近くになる可能性があり「悔しさの分だけ大きくなったのかな」と宮木さん。山あいの集落である東別所で直売所を30日にオープンし、多くの人が訪れてくれるのを心待ちにしている。