ガンバ大阪が秘策で横浜F・マリノス撃破!
マリノスの選手たちはプレスの矢をかいくぐり、ボールを前へ運ぶ技術ももちあわせている。自陣へ侵入されたときには右サイドハーフの小野瀬が最終ラインに下がり、5バックに変えてブロックを敷く割り切った戦い方も徹底されていた。 しかし、時間の経過とともに「歪み」が露になる。トップ下のマルコス・ジュニオールをケアしていたアンカーの遠藤が、左右に大きく動いてくる相手に対して想定以上に手を焼いていた。 「最初は僕が一人でついていったんですけど、そうなると(自分の左右の)スペースが空いてしまう。横に陽介がいる形の方がいいとなって、監督の了承のもとでちょっとシステムを変えました」 こう振り返る遠藤は、仲川に対するDF藤春廣輝のファウルで試合が中断した前半28分に、ベンチ前のテクニカルエリアにいた宮本監督のもとへと駆け寄り、ピッチ上で井手口や矢島、倉田、キャプテンのDF三浦弦太と何度も話し合っていた修正点を伝えた。自身と井手口をダブルボランチにすえる[4-2-3-1]システムへの変更へ、指揮官からすぐにゴーサインが出されたと遠藤が続ける。 「後ろが守りやすいように守備をすることが大事なので。去年は悪いときに自分たちで判断することが少なかったことを考えれば、選手たちで気づいたことを、監督としっかりコミュニケーションを取ってやれたことで、大きな一歩を踏み出せたと思う」 直後の34分に、結果的に決勝点となる2点目が生まれた。高く保たれたマリノスの最終ラインの裏へ、GK東口順昭がロングパスを一閃。左サイドを抜け出した倉田のマイナス方向への折り返しを、詰めてきた矢島が決めるまでの美しい流れもまた、何度も練習してきたパターンだった。 豊富な運動量を必要とするマリノス対策は、倉田をして「けっこうバテていた」と苦笑いさせたように、特にハイプレスを担っていた前線の選手たちの足を止めた。ゆえに冒頭で記した3人に交代が命じられ、チーム全体の気持ちが守りに入らないように、アタッカーたちが次々と投入された。 「ギリギリのところで身体を投げ出すとか、キーパーも含めて一緒になって守る必死さが、2点目を取らせなかった理由だと思う。相手にやらせない。本当にシンプルなところだった」