恒例「今年の漢字」は? 2024年 年の瀬にあたり
経済同友会の新浪剛史代表幹事はひとしきり考えてから「驚(おどろき)」を挙げました。米中間の対立や、ウクライナ、中東の戦況などを挙げ、「予想だにしない驚きがどんどん増えてきた。驚きが加重された年だった」と振り返りました。特に「民衆国家であるアメリカの分断がさらに深まるような驚きが起こった。予想ができない世の中になってしまった」と、神妙に語りました。
そして、日本商工会議所の小林健会頭です。小林氏は昨年、「賃に始まって賃に終わったよ」と述べていました。さらに、年初の経済三団体新年パーティ後の会見では、機先を制するように今年の漢字について言及。「人の不足。人をどうやって引き留めるかが一番の悩み」と述べ、「人」としていました。今年最後の定例会見で「それでよろしいですか?」と改めて確認をしたところ……。 「やっぱり賃上げの賃、来年も賃かな。去年1年間賃上げで苦労した。今年の方が賃に近い、来年もそうだよ」 ということで、今年も「賃(ちん)」となりました。今年は大手企業の春闘賃上げ率が33年ぶりの高水準となりました。来年も「賃」となるのか…そこには中小企業へのさらなる波及を含めた賃上げ定着への期待がにじみます。政財界の要人の漢字はいずれも画数が多く、揮毫するには難しいかもしれません。 さて、僭越ながら、私の「今年の漢字」ですが、「滞(たい)」を挙げたいと思います。今年も科学技術、防災、経済、政治と幅広い分野を取材してきました。今年の漢字の7位には「変」が入っていましたが、なるほど、様々なものが変化していると実感します。しかし、「変わるべきものが変わっていない」「動くべきものが動いていない」と感じることも多々ありました。それは取材拠点だった国会や省庁、企業のみならず、私が身を置くメディアも同様です。SNSが発達し、誰もが発信できるようになった時代、既存のメディアは「オールドメディア」と呼ばれるようになりました。メディアのあり方も問われています。「変化していることに自分がついていけているのか」と自問自答することもあります。 一方で「決して変わってはいけないものがある」のも真理だと思います。そういった感情がないまぜになり、全体として何か「目詰まり」を起こしている…停滞、滞留の「滞」を選んだ所以です。経団連の十倉会長と違い、暗いイメージとなりましたが、来年はそんな滞った目詰まりが晴れていく一年になるのでしょうか。 本年も「報道部畑中デスクの独り言」をご覧いただき、ありがとうございました。どうぞよいお年をお迎えください。 (了)