「誰も逆らえない」 ニューヨークの不法移民に漂うあきらめ
来年1月20日のトランプ米次期大統領の就任で注目されているのが、選挙戦で掲げていた不法移民に対する「米国史上最大の強制送還プログラム」だ。 【一覧】「ペットを食べている」不法移民を巡るトランプ氏の発言 就任初日に大統領令を発令し、メキシコとの国境を封鎖した上、数百万人規模の強制送還を宣言するという。トランプ氏は米国が移民らに「侵略」されていると主張し、国境管理の厳格化により「街を救い出す」とほえる。 米東部ニューヨークで暮らす移民には、「従うほかない」とのあきらめムードも漂う。 妻(38)と6~15歳の5人の子どもを抱え、メキシコとの国境を不法越境した中米パナマ出身のアンヘル・マッサさん(39)は1月にニューヨークに来た。自分のように亡命申請した移民らは強制送還の対象にならないと信じているが、「確信はない」と話す。 「もしチャンスがあれば、ここで人生をやり直したい」。たばこの煙を吐き出しながら穏やかな口調で米国に残る理由を語った。そして、こう言葉をつないだ。 「でも自分の力ではどうすることもできない。国の決定には誰も逆らえない」【ニューヨーク中村聡也】