不妊治療支援 女性活躍に熱心な企業でも4社に1社 従業員が直面する厳しい現実
実際に不妊治療に取り組んでいた従業員の声は?
労働者側に実施したアンケート結果も見てみましょう。 男女労働者2,000人(以前就労しており、現在は離職中の者を含む)を対象としたアンケートでは、不妊治療をしたことがある、もしくは、予定している人は14.5%でした。 両立している(していた)……55.3% 両立できず仕事を辞めた……10.9% 両立できず不妊治療をやめた……7.8% 両立できず雇用形態を変えた……7.4% 治療当時は働いていなかった……18.7% 仕事と両立できず、仕事もしくは不妊治療を諦めた方が3割近くにのぼる状況があります。 さらに、不妊治療をしていることを職場で一切伝えていない(伝えない予定の)人は47.1%。「伝えなくても支障がないから」という理由が37.1%で最も多いものの、周囲に気づかいをしてほしくない、うまくいかなかったときに職場に居づらい、知られたくない、理解を得られないと思うなどの消極的な理由が続きます。 職場では不妊治療を受けていることを誰にも伝えず、通常の有給制度を使って第一子を妊娠したAさん(30代、関東、育児休暇中)は不妊治療支援についてこのような感想を持ったそうです。 「出産は明確なゴールがありますし、どの時期にはどんなサポートが必要か、男性社員も含めて想像しやすいと思います。でも、不妊治療って本当に人によってさまざまですし、そもそも確実に成功するとも限りません。どういう支援が必要なのか、人によって差がありすぎて、難しいですね。少子化解消にいいメッセージにはなると思いますが……」 不妊治療と仕事を両立できるか、制度構築だけでなく職場での心理的安全性のハードルを下げる取り組みが必要です。 【参考】 ▽厚生労働省/不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査 ◆沼田 絵美(ぬまた・えみ)人材業界や大学キャリアセンター相談業務などに20年以上携わる国家資格キャリアコンサルタント。
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