ひきこもりの人、アバターで交流を…山梨県が「仮想空間」で支援、専門家に相談も可能
山梨県は、インターネットの「仮想空間」(メタバース)を活用したひきこもり支援に乗り出した。人と会うことが難しい当事者同士が仮想空間上で交流したり、専門家に相談したりできる。先月末にはオープン記念イベントが行われ、参加者は仮想空間内でゲームをして交流した。 【図表】不登校の小中高生、このように推移している
仮想空間は「ふらっと」訪れられるユートピア(理想郷)を表す「ふらとぴあ」=QRコード=と名付けた。パソコンやスマートフォンで県のホームページから入ることができる。自身の分身のアバターを作成し、空間上を動き回って参加者と交流することが可能だ。
「ふらとぴあ」には三つの空間がある。
「エントランス」は、FUJIYAMAツインテラスをイメージした開放的な空間で、支援情報やイベント情報などが掲示されている。「交流広場」は空に浮かぶ浮島で、イベントが行われるほか、「個別相談ルーム」は南アルプスの清流をイメージした落ち着いた空間で、昼と夜の2パターンを選べる。また、ひきこもり当事者が作製した絵や写真を展示する「作品館」も準備中だ。
10月29日に行われた記念イベントには約20人が参加。空間内で宝探しをしたり、一斉にジャンプして写真を撮ったりして交流した。11月19日にも引きこもり経験者の話を聞くことができる交流会が開かれる。
県健康増進課の知見圭子課長は、「人と直接会うと緊張してしまうなど支援の手が届かない人もいる。仮想空間上で気軽に交流したり、相談したりしてほしい」としている。
50人に1人がひきこもり
山梨県の調査によると、県内では県民の50人に1人の割合でひきこもり状態にあるとみられる。
調査は今年2月、15~69歳の県民4000人を対象に実施。回答者1655人のうち、約2%にあたる32人(男性17人、女性15人)がひきこもりに該当した。
調査では、「自室からほとんど出ない」「自室からは出るが、家からは出ない」「近所のコンビニなどには出かける」といった状態が6か月以上続いている人をひきこもりとした。