高齢期の住まい 有料老人ホームと「サ高住」の違い…費用はどれくらいかかる？
高齢期の住まいの選択肢として、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅（サ高住）があります。特別養護老人ホームや認知症グループホームなど、要介護認定を受けた人を対象とした施設と違い、元気なうちからでも入居できるのが特徴です。 【図解】ペットボトルのふたはどう開けている？ 開け方でわかるフレイルのサイン
有料老人ホームは、洗濯や掃除といった家事、食事、健康管理などのサービスを提供する施設で、主に「介護付き」と「住宅型」の2種類があります。 介護付きは、介護や看護の職員が常駐し、24時間体制で介護サービスを受けられます。1か月（30日）の介護サービスの利用料（原則1割負担）は要介護度に応じ、5490円（要支援1）から2万4390円（要介護5）です。 このほか部屋代や光熱水費、食費、生活支援サービスなどの費用がかかり、国の委託調査では、合計の利用料金は月額平均で約26万円です。 住宅型の場合、介護が必要な入居者は、外部の事業者と個別に契約します。訪問介護やデイサービスなど、利用した分の料金がかかります。介護サービス分を除いた利用料金は月額平均で約12万円です。 いずれのタイプも、部屋代は「月額払い」のほかに、想定される入居期間分をまとめて支払う「全額前払い」などの方式があります。前払いの場合は、退去時の返金ルールを事前に確認しておきましょう。
全国有料老人ホーム協会（東京）の渡辺潤一事務局長によると、介護が必要になり慌てて入居を決めるケースが多いそうです。「入居後に後悔しないよう、元気なうちに候補をある程度探し、立地と費用、受けられるサービスの3点をじっくり比較検討しておくのがいい」と話します。 特に、夜間の介護や医療的なケアにどの程度対応してくれるかなど、体の状態に合ったサービスが受けられるかは重要です。候補先には必ず足を運び、疑問点を直接、職員に尋ねましょう。居室や設備の使い勝手、入居者や職員の雰囲気も分かります。 意外と大切なのが食事。味付けはもちろん、メニューを選べるか、一人ひとりの食べる力に合わせた軟らかさで提供してもらえるかなどを確認します。1泊2日の体験入居ができるところもあります。 一方、サ高住は、バリアフリー設備の整った賃貸住宅です。60歳以上か、60歳未満で要介護認定を受けている人が入居できます。住宅型ホームと同様、介護サービスは含まれていないため、必要な場合は各自で契約します。日中は、職員が安否確認を行い、生活相談に乗りますが、食事の提供や夜間の対応などは物件によって様々です。利用料金は月額平均で約16万円です。 事業者団体が作る「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」では、全国のサ高住の情報を閲覧できます。費用や広さ、入居者の年齢層や要介護度、重い認知症や看取（みと）りに対応しているか――など幅広く紹介されています。 こうした住まいの多くは民間企業が運営しています。設備の充実度、サービス内容は事業者によって異なり、料金にも幅があります。先々を見据え、思い描く暮らしに必要な環境がそろっているか、よく検討することが必要です。（小沼聖実）
