日本をダメにした「米国型経営」と「小物経営者」たち 4つの負の要素 政治家も〝大物〟でなければ世界大乱の時代を乗り切れない
さらに深刻なのは政治の世界だ。凶弾に倒れた安倍晋三氏が「最後の大物政治家」ではと懸念されるほど、政治家の「小物化」が著しい。
英国の「救国の英雄」とされるウィンストン・チャーチル元首相は、先代のネヴィル・チェンバレン元首相とは真逆の、粗野で傲慢な人物だった。しかし、ナチスドイツの台頭を許したのは「非の打ちどころのない紳士」のチェンバレンである。
筆者は、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻の頃から、「世界大乱」の時代に入ったと考えている。その時代のリーダーが「小物」では務まらないことは明らかだ。
「モリカケ、サクラ」に代表される「明確な証拠のない粗探し」や、私生活のスキャンダル、さらには些細(ささい)な間違いばかりを追う風潮が政治家、官僚、役人、経営者のスケールを小さくしている。そのような攻撃の防戦にエネルギーを費やしていれば、「本業の政治」がおろそかになるのは当然である。
筆者には、その象徴が現在の岸田文雄首相のように思え、「チェンバレンの再来」にも感じる。
果たして、日本に「救国の英雄」は現れるであろうか。それを決めるのは有権者である。大局的見地から日本の将来を見据える「大物政治家」を選ばなければならない。
■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。