ポリマーケットはポリゴンにとって大成功、だが収益面の貢献はわずか
初のオーガニックな大成功
レイヤー2ブロックチェーンのポリゴン(Polygon)にとって、今年の大きな成功はポリマーケット(Polymarket)だ。米大統領選挙からHBOドキュメンタリーの結末まで、あらゆるものに賭けることができる分散型予測市場で、今年、多くのユーザーを集めている。 ポリゴンのパフォーマンスを分析している暗号資産(仮想通貨)アナリストにとって不明瞭なことは、トークン保有者にとって、この出来事が救いとなるかどうかだ。今年、暗号資産ポリゴン(POL)は65%下落している。 ポリマーケットは、米大統領選にまつわる賭けで、一般ユーザーの間で人気が急上昇している。11月の選挙でどちらが勝つかには約24億ドル(3648億円、1ドル=152円換算)が賭けられている。また、先日のHBOのドキュメンタリー番組で、誰がビットコインの生みの親サトシ・ナカモトとして特定されるかという賭けも行われた。 ポリマーケットはポリゴンのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)チェーン上に構築され、ポリゴンにとって、初の大きなオーガニックでの(=広告やプロモーションを行わずに達成した)成功となっている。ポリゴンは、スターバックスなどのパートナーに対価を支払ってネットワークを使用してもらうという過去のマーケティング戦略で知られている。 関連記事:ポリゴンラボ、スターバックスのWeb3進出に6億円支払い:関係者
取引手数料はわずか
では、アプリケーションの使用が急増しているにもかかわらず、なぜポリゴンにわずかな手数料しかもたらさず、ネイティブ暗号資産ポリゴン(POL)の価格はほとんど上昇してないのだろうか。 トークンターミナル(Token Terminal)のデータによると、10月23日時点、ポリマーケットは今年、ポリゴンに取引手数料として約2万7000ドル(約410万円)しかもたらしていない。 この疑問に対する答えの一つとしては、手数料がマーケットに基づいていることがあげられる。ポリゴンPoSチェーンでの取引は非常に安価だ。 同日のポリゴンPoSチェーンの平均取引手数料は0.007ドル(約1円)だった。 ポリマーケットのユーザーが賭けを行うたびに、ポリゴンPoSチェーンでトランザクションが作成され、ユーザーはポリゴンPoSチェーンに取引手数料を支払う。 取引手数料は基本手数料と優先手数料に分けられ、基本手数料はバリデーターに支払われず、バーン(焼却)される。つまり、無効アドレスに送られ供給量を減らすことで、理論的にはトークン保有者にメリットをもたらす。 「基本手数料は調整可能で、ネットワークの混雑度が基準となっている」と、ポリゴンラボ(Polygon Labs)CEO、マーク・ボイロン(Marc Boiron)氏はCoinDeskに語った。 「そのため、ネットワークが混雑するほど、基本手数料は上昇する」 優先手数料はバリデーターに支払われる。 「バリデーターに支払うことで、ブロックに自分(の取引)を加えてほしいと依頼している」と同氏は補足した。 「支払う手数料が高ければ高いほど、混雑が激しい場合、バリデーターがブロックにあなた(の取引)を含めることが早くなる(=決済が早くなる)」 ブロックにスペースが十分にある場合(=混雑していない場合)、支払う必要性は低くなる。 もう1つの視点は、全体的に見るとポリマーケットで賭けを行うユーザーは非常にアクティブだが、取引高はDEX(分散型取引所)のようなアプリケーションに遠く及ばないことだ。 ポリゴンの調査チームによると、今月現時点までで、ポリゴンPoSチェーンのトランザクションの5.2%はポリマーケットからだった。10.38%はチェーンリンク(Chainlink)によるもので、ステーブルコインのテザー(USDT)の取引は4.89%を占めている。 直近のある1日のアクティビティを例にあげてみよう。 ポリゴンスキャン(PolygonScan)のデータによれば、10月23日、ポリマーケットはポリゴンPoSチェーンで使われる「ガス」の約8%を占め、単体のアプリケーションでは最大だった。「ガス」はブロックチェーン用語では、あるトランザクションに必要な計算負荷を表す。 「ポリマーケットに多くの手数料収入を期待していない。ユニスワップ(Uniswap)のような大規模なコンポーザビリティ(構成可能性)がないためだ。ある程度はあるが、多くない。集まっているのは、本当にユーザーだけ。取引を実行し、それで終わり。ユーザー数が大幅に増えない限り、本質的に(手数料収入は)それほど多くはならないだろう」とボイロン氏は語る。