試合終了後、メンバー全員と交わした抱擁。BTテーブスHCがレッドウェーブに植え付けたファミリーの愛情
厳しくとも“父親みたい”と慕われる、コミュニケーションの取り方
コンプライアンスに縛られた現代社会で、ケースによって厳しい監督が好まれることもある。その人心掌握術は、部下を持つ全部の社会人にとっても、参考になる。厳しくても信頼されるために必要なことを、本人に聞いた。 「まずはリスペクトされないとダメ。俺は、自分のバスケットを信じている。目指すバスケットが正しい。やらせていることが正しい。そのリスペクトの中で、人との信頼関係を大事にする。それがなかったら、教えることが多分無駄になる。それがベース」 選手が自分のことを好きか嫌いかは関係ない。「仕事に関してリスペクトされたら、それで十分」とするBTテーブスは、コミュニケーションの大切さにも触れた。 「厳しいコーチと言われるなら、もう一つは褒めること。褒めるべきところがあったら褒める。そのバランスは大切。ずっと厳しかったら、やっぱり選手たちはしんどい。そのバランスは大事だね」 選手たちからよく聞かれるのは、「父親みたい」という言葉だ。「それは俺がおっさんになったからだ(笑)」と笑いつつ、持論を展開する。 「もともと俺は“空気潰す人”だから(笑)。ダメはダメ。いいところはいい。いいところがあったら納得する。ダメなところは説明する。白黒はっきりしていてグレーがないから、わかりやすい。そういうのが、役割としてお父さんっぽいんじゃない。自分だけが毎回正しいじゃなくて、自分が失敗したらそれも認めないといけない。人の意見も、聞くときは聞いてあげないとダメ」 「たまにアース(宮澤)とかルイ(町田)が、出した指示と違うことをやったりする。それがうまくいけば別にいい。でも、失敗しても喧嘩になることはない。チームのために何を考えていたのか、ちゃんと聞いて、それが納得できればいいから」 自分のこだわりだけじゃなく、相手の判断もちゃんと理解して、認めてあげること。それが、リスペクトを生む要素だと彼は話す。 「本当に選手のこと、バスケットだけじゃなくて彼女たちの人生や普段の生活のことを考えてあげないとダメだね。一緒にいる時間が長いからさ。ルイ(町田)と俺は、ずっと一緒に仕事をしている。やっぱり本人の気持ちを考えないと、ベストは出せないと思うね」