円やユーロなど対ドルで上昇-ベッセント氏の財務長官起用で安心感
(ブルームバーグ): 次期米財務長官にマクロヘッジファンド運営会社キー・スクエア・グループを率いるスコット・ベッセント氏が起用されることになり、世界各国・地域の通貨が対ドルで上昇している。ドナルド・トランプ氏のホワイトハウス返り咲きによって世界市場に激震が走るとの見方がトレーダーの間で後退した。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は25日に一時0.6%下落し、この2週間で最大の下げ幅となった。主要通貨では円とユーロが好パフォーマンスとなり、韓国ウォンと東欧通貨が新興国通貨の上げを主導してトランプ氏当選後の下げを一部取り戻した。
この動きは、ウォール街のベテランであり、慎重なアプローチでトランプ氏の「米国第一主義」的政策を一部和らげる可能性のあるベッセント氏が選ばれたことに対するトレーダーの安堵(あんど)感を浮き彫りにするものだ。ベッセント氏は、貿易制限の実施について段階的なアプローチを呼び掛けており、関税の正確な規模について交渉することにオープンな姿勢であると見受けられる。
ソシエテ・ジェネラルの金利ストラテジスト、スティーブン・スプラット氏(香港在勤)は顧客向けリポートで、非正統的で適任でない候補者のリスクが排除される一方、ベッセント氏が「安全な人選」であるという市場の見方で、米国債相場が安心感から上昇する可能性があると指摘した。
関税は徐々に賦課すべきであり、現在議論されている関税は「最大主義的」な立場であって、交渉次第で引き下げられるという趣旨のベッセント氏の見解は、アジア通貨の助けになるだろうとスプラット氏はコメントした。
米国債相場は早い時点の取引で全面高となり、指標の10年債利回りは一時6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.34%と、この1週間で最低となった。このこともドル上昇の勢いをそいでいる。22日の外国為替市場では、ドルが週間ベースで1年強ぶり長期上昇となり、ユーロは2年ぶりの安値、スイス・フランは7月以来の安値となっていた。